フランス旅行を中断して 04-Aug-30

末 兼 郁 二 
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Maili-suekane@jttk.zaq.ne.jp

7月1日から東西のLSCの仲間とフランスに行きましたが、私だけ実兄の急病で15日から離脱し、帰って来ました。私が呼びかけ、リーダーとしてスタートしながら、やむを得ない事情とは言え、脱落してしまい、同行の皆さんには大変ご迷惑をお掛けしました。にも係わらず、予定通り丸々1か月の旅を見事に完遂されたのはまことに素晴らしいことです。最初から私の役割を大きく支え、且つ私の脱落後は名実共にリーダーとしての役割を果たされた佐々さんと、これを受け容れ完璧に支えられた他の皆さんの協力の賜物です。

完走してない私が何も言う資格はないのですが、いつもの事ながら、どんな団体旅行も多くの教訓を生みますので、敢えて佐々さんが別に詳細に書いて居られることを踏み台にして、少し違った視点で補足させて貰います。中途脱落者の立場からの報告も役立つことがあれば幸甚です。

1.中途脱落して得た教訓

我々シニアーは何時でもどこでも自分にも又身内にも緊急事態が生ずる可能性があるので、旅行中断もありうることを覚悟しておかねばならない。旅行の中断は多くの費用を伴うので、海外旅行保険は出来るだけ旅行変更特約をつけておくことをお勧めする。私の場合仮に¥870の割り増し保険料を払っていたら30万円までの範囲で実際の損失費用をカバー出来たはず、このことは別の記事「賢い海外海外旅行保険の掛け方」でご紹介しています。

宿泊や交通切符の取り消しは旅行業者の言うなりにならないこと。特に多忙な出先で

はお金にならない取り消しや変更はやりたがらない。私の場合フランスパスは全く使用してないのに、名前のサインをしたばっかりに返還できないとHISの窓口でも断られ、フランスの発行元からも拒否して来たが、理屈に合わないので、裁判に掛けるぞと強く主張したら、手数料差引で返還して来た。もっともこれは理屈が通ったのではなく、HISが僅かなお金(約3万円)を払うことで厄介払いをしたのかも知れない。この場合も旅行変更特約をつけておけば、保険会社が支払った上で、旅行会社に求償する筈である。

2.すりの被害

佐々さんのレポートにある掏摸(すり)の被害について、ご本人にとってはあまり嬉しくないことであるが、会員の皆さんの参考のために、あえて状況を少し説明させて頂きたい。

雨の日の込み合った地下鉄の乗降口近くに立っていた私は、ポケットに妙な感触があったので、周りを見回すと一見紳士風の男の2人組があやしい、1人は黒人、これが見張り、もう1人の白人は左手にコートを掛けていて右手で獲物を物色している気配。気が付いた私はすぐ近くに立っていた同行の女性達に注意を喚起しただけで、目的地の停車場で下りてしまった。地上に上がり、入った喫茶店で、佐々氏はお腹につけたポシェットが開いていて、パスポートや現金、クレジットカード、航空券などが入っている本革製の立派なパスポート入れが無くなっていることに気が付いたのである。この2人組は私を狙った後、少しはなれたところで、地図を広げて行き先ルートを模索していた佐々氏を狙ったに違いない。

佐々氏は自分に隙があったと書いているが、不案内のパリで、地下鉄ルートのナビを彼一人に押し付けていた我々にも大いに問題があった。実用的ではあるがかなり複雑な地下鉄路線図を凝視していたので、彼は広げた地図の下で何が行われているか気が付く余裕がなかったのである。怪しい気配に気が付いたのであるから、私はその後の彼等の動向を注視するなり、佐々氏にもその旨伝えるべきであった。

一般的に言えることは、人の動きの激しいところで、とくに小道具が揃っている雨の日は特に注意しなければいけない。それから大切なものを一緒に入れられるパスポート入れは、便利ではあるが、なくなった時のリスクが大きいので、使わない方が良い。佐々氏は直ぐ警察に届け、カード会社に通知し、保険会社に事故報告をし、日本大使館にパスポート再発行を申請し、HISで帰りの航空切符の再発行の手続きをしたので、損害は最小限に留めることが出来たが、手持ち現金の500ユーロ弱は保険の対象外で返って来ない。

ちなみに盗られたVISAカードは早速当日に3件ばかり使われていたとのことである。旅行保険金は目下請求中であるので、その結末も含めて、今回の事件は私の「賢い海外旅行保険の掛け方」の続編の中で事例として一部使わせて頂く予定である。 

 3.現地通貨の調達

 私の場合はいつも現地通貨を日本のCitibankで買い、その場で現地通貨建てのT/C(同行はAMEX=American ExpressT/Cを使う)に変えて現地に持参し、現地空港や現地店舗で現地通貨に換える。今回の例でば、7人のメンバーから25万円づつ預かり、これで大阪のCitibank梅田支店で12,600ユーロを買い全額T/Cにかえた。換算手数料(TTSレート−中値)は@¥1/ユーロ、他のどこの銀行より一番安かった。(他行は¥1.5程度)。T/Cの発行手数料も0、(同行への預金残高が100万円以上の預金者の特権、通常は1%)。これをパリ空港のAMEX(各国際線到着ロビーにある。)とパリ市内のAMEX店舗(オペラ座の横)で必要に応じて、3回に分けて現金化した(手数料は0)。兎に角支払った手数料は全体で外貨購入の時に@¥1/ユーロ即ち¥12,600を取られただけである。

 オーストラリアの時は持参した豪ドルT/Cを河村さんの斡旋で現地銀行(AustN.Z.)に預金口座を作ったので、その銀行カードで、各地にある同行のATMで必要な額をその都度引き出せたが、フランスでは、口座を開く方法を調べたり、実行する時間的な余裕もなく、比較的多額の現金を持ち歩く結果となった。

 別の機会に、仮に日本の円口座から現地でカードを使って引き落とした場合に幾ら手数料をとられるか、他にもっと良い方法があるか、皆さんの事例をお聞かせ頂き、手数とリスクも含めて比較検討して見たい。

4.フランスの天候

 昨年パリで猛暑のため死者が出たとのことであったので、暑さは警戒したが、実際に行って見ると半袖では震え上がる寒さ、日本は昨年は冷夏だったのに今年は過去に例のない猛暑、地球規模で考えると、暑さ寒さはその年々で、又土地によって全く違うことを思い知らされた。もっともだからといって多くの衣料を持って行くより、今回の様に町のマーケットで、その土地の人間が買う実質的な衣料を買えば良い。メンバーのなかでオンフルールの商店やドービルの朝市でジャンパーを買ったが、こう言うところの買物は土産店とは違って結構面白いものである。

5.フランスの乗り物

 レンタカーは、今回の様に大型のバンはフロアーシフトしかない。オートマになれた我々は慣れるまで苦労するが、クラッチをつなぐ時ロウにすることを忘れなければノッキングしたり止まったりはしない。ハンドルも方向指示器も反対側にあるのではじめは戸惑うが、すぐに慣れて来る。あわててパニックに陥ることが一番危険である。狭い道では対抗車がなければセンターラインを超しても、側石でタイヤを擦るよりはるかに安全である。

私の運転は乱暴で危ないと広言する人もいるが、私は運転が大好きなので、今回はすっかり堪能させて頂いた。黙って乗って下さった皆さんに感謝したい。

 パリに限った事ではないが、不案内の大都市では、地下鉄を利用するのが一番である。路線図を見慣れると行きたいところに一番確実に行ける。但しすりにはご注意を!

6.食事の楽しみ

 旅に出てまでおさんどんは嫌と言うご婦人、その土地でのグルメを楽しむ人も多いが、私は徹底的に自炊派である。先祖伝来のDNAが和食を欲しがる。鍋釜やコンロ、燃料のプロパンも現地調達、米も調味料も海苔も日本食材店で仕入れて、車に積み込む。おかずは出来るだけ現地調達の惣菜と肉や野菜、之を室内で調理し、佐々氏の写真にもあるが、ダブルベッドにシーツを敷いて皆で囲んで談笑しながら好きなものを鱈腹飲み且つ食らう。昼は海苔で包んだおにぎりと果物、この楽しみはレストランなどでは絶対に味わえない。朝食はホテルは勿論、ユースホステルでも必ず付いている。当然のことながらパン食である。之でいて一人当たり1日の平均飲食費は当初の予算では¥3,000であったが、自炊主体の期間は僅か¥2,000、レストラン暮らしではこの数倍はかかったであろう。

 ただ問題は炊事負担の偏りである。男同士の時はかなり簡単であるが、今回の様に男女混合で、抜群の行動力を持つご夫人が居ると、どうしてもその特定の女性に集中してしまう。私が居なくなって外食が主体になったのは少し残念である。もっと分担を明確にして、偏りを少なくすべきであった。

7.掛かった費用

 会計担当の平田さんと佐野さんがしっかり帳簿を付け現金の管理をしてくれているので、

集計は簡単であるが、私は中途脱落しているので、論評するのは適当でない。合計で1人当たり50万円は超えていない。参加者の東西を比較すると飛行機代が10万と7万の差、常に関西の方が高くついているのは面白くない。他の旅行と違って食事代が一日一人当たり平均¥2,000弱と少ないのは、自炊と会食時の工夫が功を奏している。

8.バンヌの女性

佐々レポートに書かれているので、少し弁解しておくと、この女性はシャルバーグ八千代さんと言って、フランス人と結婚して、今年9歳になる男の子の母親である。この子が9ヶ月の時フランス領タヒチのライアティア島で偶然出会って以来の家族ぐるみの友達である。この人は地球の歩き方のギリシャ、タヒチ、モロッコ編のライターであり編集者でもある。この子が2歳の時、一家がタヒチからフランスに里帰りする途中、当時サンディエゴに住んでいた私の家に2泊したりしたこともあり、フランスのブリュターニュに引越ししてからも私が彼女の記事を「暮しの手帖」社に紹介したり、1度たずねて行ったりしたこともある。

今度の旅行はそもそもは彼女から家内同伴で再度ブリュターニュに遊びに来ないかという誘いに乗ったことが始まりである。 

 そのほか色々ありますが、紙面の都合もあるのでこの位に留めます。同行の皆さん本当に楽しい思い出を沢山有難うございました。

2004830日記

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