2012年5月19日~6月22日
平田和彦
1.「スペイン巡礼の道歩き」の動機と経緯 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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退職後、色々なアウトドア生活を満喫していた。そのひとつが街道歩きである。 伊勢古道(大阪・玉造神社~伊勢神宮 約170km)、熊野古道・伊勢路(伊勢神宮~熊野大社約160km)、萩往還(萩~三田尻(防府)約53km)、坂本龍馬脱藩の道(高知~伊予・長浜約130km)、近畿の山・ダイヤモンドトレイル(二上山~和歌山・加太)、大阪循環自然歩道(二上山~生駒~ポンポン山~)、京都一周トレイル(約110km)、鯖街道(京都~小浜・根来・針畑ルート)と街道歩き、山歩きを続けてきた。(現在も継続中) 一時期体調を崩し、病院通いを余儀なくされたが、なんとか克服することが出来ました。元気になると海外の山、トレッキングコースにも興味が波及し、何時からか、「スペイン巡礼の道歩き」が気になりだしました。 無神論者、カソリック信者でない自分が何故歩きたいのかと自問自答をしましたが、自然大好き人間の私にとって、遮る壁はなく「スポーツ感覚のノリ」でチャレンジ(参加)してみたいと思うようになってきました。 それを遂行するには幾つかの条件があるなと考えました。 先ずは健康な身体である事、日常生活、緊急時の対応等には言葉や異国の習慣を知っておく事、体力面では1日に歩く距離が20~30km、自ら荷物を背負っての歩きとなり、かなり過酷な試練があると考えなければならない。 しかし楽観的な見方をすれば、世界の老若男女が参加しているのであれば、極端な困難さはないだろう、なんとかなるはずとも考えました。 仕事を67歳で区切りを付け、旅行スタイルもパッケージからロングスティに切り替え、海外生活を少しでも経験し、慣れておく事。 インターネット・書籍を通じ体験話を知る、又歩いた経験者に情報を頂く。 月数回の山歩き、週2回の体力維持・向上トレーニングにも力を注いだ。 友人の一人が趣旨に賛同してくれ、単独行を免れ、今回実施の運びとなった。 (長丁場の生活、想定外のトラブル発生時、複数人のトレッキングは何かと心強いものがあります) |
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2.「スペイン巡礼道歩き」のまとめ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5月19日高橋さんと仏・サン・ジャン・ピエド・ポーを出発し、6月22日スペイン・サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着しました。 がむしゃらに連続35日間歩き続け、当初達成可能だろうかと考えていました行程800km、「スペイン巡礼の道(フランスの道)」を踏破する事が出来ました。 到着したカテドラル前広場で、今回知り合った仲間達と熱い抱擁、喜びを分かち合いました。 思い起こせば、19kg(後に16kg)の荷物を背負い、一気に1000m登るピレネー越えは青息吐息、おまけに雹(ヒョウ)混じりの雨、遠くには雷鳴が響き渡る最悪の天候、泥道歩きから幕開けしました。 その後、標高780m・巡礼モニュメントのあるペルドン峠、遮るものがない広大なメセタの大地、650m登る雨模様のセブロイロ峠、高山植物ヒースが群生するイラゴ峠、越えて石ころだらけの下り道を一気に1000m降下、モリナセカに向かう道等、単調さと変化が共存しスペインは本当に広いとの印象でした。 1000年以上の歴史があるこの巡礼の道は、点在する村、都市を歩道でつなぎ、それらの村には巡礼者の休息と歓談をする広場、バル(=喫茶、食事、飲み屋)、宿(アルベルゲ、ペンション、ホスタル・・)、スーパーマーケット等のインフラが充実しています。 これ等を通じ10数ヶ国の巡礼仲間が出来ました。仏国内から1800km踏破を目指す70歳半ばの老夫婦や母娘、ブラジルから来た日系4世、とにかくストックを上手く使い歩く速度がとてつもなく早い欧米人、お互いに「オラ!」と呼びかけエールを交換。苦楽を共にする仲間意識高揚、元気を貰いました。 歴史的な建造物(特に教会、石造の橋)は必見です。果物(桃、柑橘類等)は安くて美味しく、1日3000円程度(宿泊費込み)の費用で生活は可能でした。 「古希」前に、キリスト教信者でも無い私が、自分の限界に挑戦する事を目的で出掛けました。太陽の照りつける日中、脳裏に浮かんだ事は、送り出してくれた妻、両親への感謝の念でした。 この旅を通じて、当たり前の事ばかりですが、日々の積み重ねの大事さ、共に支え合って生きているとの実感・人の継がりの大事さを教えてくれました。 機会が有れば再度訪問したいと思っている、魅力あるトレッキングでした。 以降は、私自身の体験を元に[独断と偏見]で、まとめました。 |
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3.「スペイン巡礼の道」とは | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
サンティアゴ・デ・コンポステーラには、聖ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺骸があるとされ、ローマ、エルサレムと並んでキリスト教の三大巡礼地である。 1000年以上の歴史を持つ聖地への道は、今も年間約10万人がフランスからピレネー山脈を越えてゆく。巡礼の中心地であった都市を拠点として、主要な4つの道がピレネー山脈に向かっている。 ①「トゥールの道」(パリから) ②「リモージュの道」(ブェズレーから) ③「ル・ピュイの道」(ル・ピュイから ) ④「トゥールーズの道(アルルから)」 スペインでは、ナバーラ州からカスティーリャ・イ・レオン州の北部を西に横切り、ガリシア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう「フランスの道」が主要。 イベリア半島の巡礼路には、他に「北の道」、「イギリスの道」、「ポルトガルの道」、 「銀の道」「フィニステレの道」、「ムシーアの道」などがある。 ![]() |
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4.巡礼手帳(クレデンシゃル)と巡礼証明書(コンテスポーラ)について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 巡礼手帳 ―自分が巡礼者であることを証明するいわば「パスポート」で巡礼路上の主な教会、巡礼宿等の宿泊施設、観光案内所、各地の巡礼友の会事務所等で入手出来る。 私の場合、巡礼手帳は日本の下記会で入手。(1,000円郵送料込) NPO法人日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会 http://www.camino-de-santiago.jp/ 氏名、国籍、巡礼の目的などを記入。これの提示で巡礼宿(アルベルゲ)に宿泊が出来、 美術館などの入場料割引を受ける事が出来る。「巡礼の心得」に書かれている内容により 巡礼者としての自覚を促す。又巡礼記録として巡礼路にある主な教会や宿泊施設、バルな どにてスタンプを押して貰う。これを忘れないように実行する事が、巡礼証明書発行につ ながる。 ![]() 巡礼手帳(必要事項を書き込み、順次スタンプを得る) ■ 巡礼証明書 ―サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着後、巡礼事務所に立ち寄り巡礼証明書を貰う。 認定証の発行条件は、徒歩と馬による巡礼の場合はサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの最後100kmを踏破することである。フランスの道なら「サリア」からが目安。この地点から1日に2つ以上のスタンプを貰うように心掛ける。併せて巡礼の動機として「宗教又は精神的なものを求めて」という場合のみ証明書は発行される。この道はカトリック信者の道なので、精神的に何か向上したい、何かを得たい、と望む事が大切とされている。 これらの2つの条件をクリアしない場合は巡礼証明書に代って到達記念の歓迎証が発行される。(私は歓迎証) ![]() 巡礼記念の歓迎証 |
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5.歩き方 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
自分達の「体調を一番(疲労、故障)」に考え、翌日の歩く予定を検討。 a)出発時刻と宿泊先の検討→到着時刻の推定 ・ 歩ける距離(実力) ・天候 ・峠の有無とそれの高低差の度合い 休憩場所となる村の位置 ・有名観光地の有無 ・アルベルゲの場所と数 ・公営、私営か ・評判の善し悪し情報 b)実際には、歩きながら風景、歩き仲間との出会いを楽しみ、自分達の疲れ度合を配慮し、間近 で最終宿を決定した。 *注意点 大都会の場合、アルベルゲが広範囲に点在(数km)しているケースがあり、事前 に調べ宿泊先を決めておく事。 *参考本 著者 John Brierley 「Camino de Santiago Maps / Mapas / Cartes:」 著者 John Brierley 「A Pilgrim's Guide to the Camino De Santiago」 ![]() ![]() 「Camino de Santiago」表紙 地図(左;説明、標高 右;地名、距離) ■ 休憩の取り方 ―1~2時間を目途にし、疲れ度合や村の位置を確かめ、適宜休んだ。 欧米人と私共の1日に歩く距離は、ほぼ同じ位だったが、彼等はバルでの休憩回数、時間を多く取り、上手く調整(楽しむ?)をしていた。 休憩を多く取ると、自ずと歩きに負荷がかかる事(急ぐ)になる。しかし彼等は、とてつもなく早く歩く。何時も競争心を持って、密かに歩いたが一度として追い抜いた事は無かった。体力がある上に軽装でダブルストック・ウォーキング方法が決め手と考えています。 ■ 時間当たりの歩ける距離の変化 ―当初は3km/時間。後半には4.5km/時間でも歩けるようになりました。 歩き慣れてくると、平地で速度を早め、しんどい上りでは着実に歩を進めるなど、緩急をうまく使い分けることが出来、次第に歩く力も付きます。 地図、時計、高度計などを利用し、行程の位置把握を心掛けると、心理的に楽で、疲れ度合いも少ない。 注)自分で歩く距離を20km/日と定め、頑なに守る人もいた。 |
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6.荷物の運搬方法 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ 徒歩による場合 ―私営のアルベルゲ(宿)間でバッグの輸送を請け負うサービスが存在(費用 ; 5€/1バッグ)。 女性の利用者が結構いました。 アルベルゲでの受付業務は到着順と決まっている。バック輸送依頼者が所定の時間に遅れた場合、どう処理されるか等、詳細は不明。 バッグを背中に背負う方法以外に、ロバの背中、1輪車、2輪車に乗せて歩く人達も見られた。 ![]() ![]() ![]() ナップザックのみ(イラゴ峠越え) 路上に置かれた一輪車 ロバに荷物を乗せて巡礼歩き ■ 自転車による場合 ―生活用具をバッグに収納・積載し、歩道、一部車道を走る。アルベルゲに共に宿泊。 巡礼証明書取得――サンチャゴ迄200km以上踏破が条件。 ■ 徒歩、自転車以外の方法 ―巡礼路にそって自動車道路網が整備されており、便数は限られているがバスの利用が可能。 タクシーも可能。(アルベルゲにて情報を得る事) |
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7.宿―アルベルゲ、ペンション、ホスタル、ホテル、パラドール(国営) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■巡礼宿(=アルベルゲ) ―アルベルゲは5~10km毎にほぼ存在。(大きい街にはPH,H有り)
(事例) ■ 宿(B)-上記以外にペンション、ホスタル、ホテル、パラドール(国営)有り 個室、バスタブ(大半)、TV付き、ゆっくり湯船に浸かり、癒すことができる。
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8.荷物の準備(軽量化、機能重視、兼用化) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
雨対策 ―折りたたみの傘は市内観光の際有れば良い程度で、歩行中は邪魔。 ゴアテックス製の雨用上着(740g)は軽量化、保管場所と取り出しの利便性を考慮し小型ポンチョ(340g)に切り替えた。(スペインにて) 雨が予測されるとバッグには事前にレインカバーをかけておく習慣有。歩行中に雨が降り始めると、急いでバッグから雨具を取り出し、着たいものだ。小型のポンチョであると小さく畳んで腰に携帯出来、バッグを担いだまま素早く着用出来るメリットがある。 ロングスパッツは靴の汚れ、足首よりの侵入防止には役立つが、雨上がりの赤土の道では泥の跳ね返りが激しく、ズボン全体を覆う必要があります。レイン用パンツで代用が便利。 靴を履いたまま脱着可能な下部ファスナー付きタイプがベター。 食事対策 ―折り畳みの十徳ナイフ(ナイフ、コルク抜き、缶切り、等)、スプーン、フォーク、ナフキン、ティッシュペーパーは持参したい。 ![]() 洗濯関係 ―洗剤、石鹸を持参したが、アルベルゲの1/2は自動洗濯機が設置されており、石鹸だけでよい(利用費用;3~6€/回、乾燥機費用は別途2~3€)。 スペインの陽射しは強く衣服の乾燥は天日にて十分。雨天時は乾燥機を利用した。物干し場は何処も有り、止めクリップ、ロープもあれば便利。 又天候の関係で半乾きの衣類は翌日歩きながら乾かしたい。メッシュの布袋(歩いている際、欲しかった)を持参し、バッグの外部に取り付け、歩きながら乾燥させると、夜・朝気持ちよく着替えが出来る。 干したものの、取り込み忘れに注意したい。(2回ミス) トイレ関係 ―トイレ用としてロールペーパーを持参したが少量で十分。アルベルゲ,バ-ル全て水洗式。何処もほぼ大型のペーパーロールが設置されており、昼間はほぼ充足。とはいえ時に無い事、歩行中もよおす事もある為(一度有り)、常に少量のペーパーの携帯は必須。温水洗浄便座は無く、習慣上手放せない人は携帯タイプを持参されたい。 給水関係 ―アルベルゲが存在する地は、大抵スーパーマーケットがあり、水、食べ物、生活用品の調達可能。中途の村では、休憩場所と水呑場がある。バル、レストランにて喫茶、食事も可能。ガリシア州・ソブレイロ峠迄は宿の水道水や休憩所の水を主として利用。衛生面での若干の不安はあったが、幸いに体調面でのトラブルは生じなかった。 以降サンチャゴ迄ミネラルウォーターを購入。(0.5~1.0€/ボトル)荷物軽量化の為、魔法瓶は不要。PETボトルで十分。保温袋有れば便利。 暗がり対策 ―アルベルゲ宿泊時、早朝5:30~6:30の間に起床すると室内は薄暗く、保安灯が一部存在するのみ(点灯は7時頃)。暗がりでパッキングする必要がある。懐中電灯は必須。前夜にバッグ内の荷物整理は済ましておき、ランプ、貴重品、朝食用食材と必要器具、一部の衣服等はひとまとめにしてスタッフバッグに入れておくと、出かける前にバタバタしないで済む。 内容物が分かる様に3種類のサイズのスタッフバッグを用意、名札を付け準備、整理したつもりだったが、余り効果なし。これは更なる工夫が必要。 衣服関係 ―5月中旬から7月上旬迄のスペインの巡礼路の気候であれば、雨が降らない限り、毎日洗濯すると、その日の内に乾く。(気温7~8℃から30℃、白夜―22時頃迄明るい) 下着(Tシャツ、パンツ)は2日分でまかなえる。 しかし雨天を考え1日分追加し3日分。靴下は晴雨に関わらず、足の乾燥状態を保つ為、材質は化繊、綿は避けたい(マメ対策)。したがって2日分加え4日分持参したい。 重ね着を前提に、寒さ対策を考える。 風対策用の薄い長袖のヤッケ(1枚)、薄い生地の長袖のシャツ(2枚)、長、短とセパレート出来るタイプのズボン(1枚)と七分丈のズボン(暑さ対策と室内・寝巻き兼用1枚)は用意したい。 暑さ対策 ―日差しの強いスペインの巡礼路。サングラスと帽子は必須品。 帽子はひさしがあって、周囲の熱気を少しでも遮断出来る、厚手のタイプが良い。日差しが弱い日は、バンダナを併用した。日焼けクリーム必須ですが、面倒。薄手のシャツ等で遮蔽も一方法(私はこの方法)。 体調維持対策 サポーター ―毎日10数kgのバッグを担ぎ、アップダウンのある道を歩く事で、腰や 膝に負担がかかり、故障を起こさないかと心配をし、歩き始めから腰・膝にサポーターを取り付け歩いた(過去に椎間板ヘルニア手術経験)。しかし幸いにも疲労は残るものの、強い痛みは皆無だった。腰用は暑さ汗対策上、中途より外したが、膝用は念のため最後迄着用した。 マッサージ・ストレッチ ―腰・ふくろはぎに張りが残る日は仲間内相互でマッサージを行い、湿布薬を貼った。上・下半身のストレッチは毎日行った。 シャワーを浴びるのは当然だが、バスタブがある宿では熱い湯に浸かり、極力歩き疲れを次の日に残さない努力をした。 サプリメント ―最初の10日間は高橋さん持参のサプリメント(4種類)を飲み、その後はビタミン剤(アリナミン)を飲み、体調維持に努めた。 睡眠関係 ―今回の宿泊先の大半がアルベルゲ。つまり同一部屋に多くの人達と共に就寝。アイマスク、耳栓を付け、早目(9時~10時)にベッドに入り、睡眠時間を十分得ることが出来た(後就寝の人は、迷惑だったかも?)。 毎日習慣化した歩きによる疲れと夕食時、ワインがフルボトルで提供され、欠かさず飲食を楽しんだ。歩いていた35日間で寝付けず、12時を回った日は1日だけ。熟睡の毎日であった。シンプルに歩く事だけを考え、しっかり汗をかき、飲んで食べれば眠れるという事を実感。 翌日長い距離を歩く予定があり、雰囲気が騒がしい夜は、時に入眠剤のお世話にもなった。 ■ 寝袋と就寝の関係 ―化繊タイプ・夏用の寝袋(600g)を持参。後半の高地の宿では重ね着をしないと寒い日も有りましたが、大半は以下の組み合わせで十分機能を満足した。衛生面(ダニ等)と夜の冷え込みを心配しインナーシーツを寝袋内にセット。寝間着はTシャツと長袖のシャツ、靴下を着用,寒さのカバ-をした。枕は何処も有りました。衛生面を配慮し、洗ったシーツを利用前に提供するサービスや毛布が設置されている所もあった。 衣服は、前日に天気予報を聞き、翌日の準備を。翌日着る下着にて就寝がベター。朝外に出て寒く、慌てて宿に戻ってヤッケを取り出した事がある。(慌てて忘れ物) 情報関係 ―10.5inchのP/Cを持参したが、充電ユニットを含めると1.9kgは重すぎた。 デジカメの日々の映像の取り込み、巡礼路の調査情報を再読、Eメ―ル受発信と、それなりに貢献したが、歩いている間はP/C利用は困難。 重量軽減化の為、電話機能(日本向け、スペイン国内)とインターネット通信機能を保有し、何時でも何処でも利用できるスマートフォンが最適。 バッグの選択 A)本体のバッグ ―30~50L容量で、収納部が多く容量に余裕のあるバッグを選びたい。 (西欧人は旅慣れているのか、小~中容量で、軽装が多い)上部に小物関係(地図、ライト、充電器、レインカバーなど)、両サイドにPETボトルが容易に出し入れ出来るポケット付き。本体中央部が上下に分かれ、背中側から出し入れ出来るタイプを選択したい。(今回の私の持参バッグは、上部からの出し入れタイプ)理由は、毎日の起床後、暗闇の中で行うパッキング時間が短く出来る。 入れる物の場所を明確にしておけば、必要スタッフバックのみ出し入れすれば良い。上部から投入するタイプは、毎日全てのスタッフバッグ(衣服)を全て出し入れする必要がある。 この作業は毎日、煩雑で手間が掛かる。 総重量を10~12kg程度に収めると楽(1日の水、昼食、間食の食材を含め)。当初は19kg、再吟味により16~17kgへ。これでもしんどい!マドリッドの空港で出会った60歳代の日本人女性(4回の経験)は重 量6kgで歩いたと自慢していました。 B) セカンドバッグ(ショルダーバッグ、ウエストバッグー兼用タイプ) ―PETボトル装着可能なバッグ(30×25×14;700g)を用意した。しかし昼間の暑さで、ウエストに装着すると腰回りが暑く、バッグタイプにすると坂道等を歩いている際、ぶらぶらして煩わしく利用を止 めた(日本へ)。内容物(小銭入れ、メモ、ボールペン、ティッシュペーパー、懐中電灯、帽子、)はズボンのポケット等に移し替えた。不要! C)貴重品用袋 ―重要物であるパスポート、巡礼手帳、予備費は貴重品袋に入れて管理。 これらはアルベルゲ等でのスタンプ押し、宿泊手続き等で、毎日取り出し提示が必要である。当初はショルダーバッグに入れていたが、盗難、置き忘れ等を考え、身に着けて運ぶ事にした。 5,6月の日中気温が高くなる時期は、Tシャツで歩きたい。しかし陽射しが強く、日焼け防止と見てくれ(目立つ)を配慮し、長袖のシャツを重ね着し、Tシャツの上にぶら下げた。それでも、この袋はいつも濡れ状態。更なる工夫が必要。 靴の選択 靴(歩行用) ―長時間、長距離、10数kgの荷物を背負い道(40日近く、800km)を歩く。 この巡礼の道歩きは、トレッキング用と位置づけた靴の選択(オールラウンド対応)がいいと思う。 <色々な天候に遭遇> ・全天候対応型⇒ゴアテックス仕様の防水、湿気発散機能付きを。他。 <色々な路面に遭遇―上下の急坂、石ころ道、岩場の道、水たまり> ・ハイカット型。剛性と柔軟性(捻挫と疲れ防止)、足首をソフトに包む。 <長丁場、荷物を背負う> ・軽量化。 ・靴底は、着地の際の衝撃を吸収できるクッション性(足の裏全体で受ける工夫)がある。 履いた感覚で、着地の際固さを感ずるようであれば、補助用として厚手の中敷き(3~4㎜程度)を薦める。 「これら上記機能を具備した靴」を用意したい。 B)サンダル(宿用) ―アルベルゲ到着後、シューズは強制的に脱がされ、所定の場所に置く事になる。室内、外での履物が必要である。洗濯、マーケットへの買い物、散歩の為、軽量なカジュアルタイプのサンダルが欲しい。 肉刺(足まめ)対策(経験者の苦労話) ―治療面 ・肉刺の中の汁を外に出して、皮と肉の間にリンパ液を溜め無い事。 その為には、赤チンキで消毒した糸を肉刺の中に針で通して、中の液をたえず外に出す工夫をしたら良い。 ・根本的な治療ではありませんが「肉刺対応のパッド」で肉刺全体を覆うやり方もある。肉刺の表皮のはがれ(潰れ)を防止の為には有効でした。 ・肉刺を「温食塩水に足をつける」というやり方で消毒する方法も良い。 ―発生させない為には 足裏を鍛えておく(とにかく歩く)。荷物は軽量化を。靴は上記仕様を。 靴下は濡れにくい、乾燥し易い材質の選択(綿×、化繊○)。 歩いている際、休憩時は足を休め、乾燥させる(脱靴)。 汗をかきやすい人は、こまめに靴下の交換を。 |
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9.スペイン巡礼の道歩き」関連の参考になる資料 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■ インターネットからの選択 「サンティアゴ巡礼 エル・カミーノ・フランセス」 (内容)5月から6月にかけての「フランスの道」歩きの紀行文。 人との触れ合い、アルベルゲの情報等が参考になる。 注)「スペイン巡礼の道」などで検索し、自分の要望に合った紀行文を探すと良い。非常に沢山の 方が投稿されています。 ■ 紀行本からの選択 「聖地サンティアゴ巡礼 世界遺産を歩く旅」 著者 NPO法人日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会 (内容)「フランスの道」を中心に、行程の説明、史跡紹介。 「サンティアゴ巡礼へ行こう!」 著者 中谷光月子 (内容)「フランスの道」紹介で、歩きとバス・タクシー併用紀行文。 アルベルゲ、ホスタル、ホテル、食事情報、史跡の歴史紹介などが参考になる。 「星の旅人」スペイン奥の細道 著者 黛 まどか (内容)作家(詩人)が、自ら歩き、道中の苦闘振り、心理描写が参考になる。 歩き終えた者にとっては、同感する話が多い。 |
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10.利用の交通機関(日本~フランス~スペイン) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本→ヨーロッパ(KLM) 関西空港10:00発(KL868)→AMSTERDAM空港15:25着 AMSTERDAM空港16:25(KL1243)→PARIS(C.D.GAULLE)空港17:40着 ドゴール空港→パリ・モンパルナス駅 PARIS(C.D.GAULLE)空港→Montparnasse駅 (エールフランスのリムジンバス利用) 宿泊先;ティモテル モンパルナス(早朝のTGVに乗車予定の為、近場を) モンパルナス駅→サン・ジャン・デ・ポー駅 Montparnasse→Bayonne 8:25発 → 13:57着 (TGV 10,800円=8,700+指定2,100円) Bayonne →St・Jean・Pied・Port 15:05発→ 16:23着 (ローカル 3,350円=2,300+指定1,050円) サン・ジャン・デ・ポーでの宿泊(確実に宿泊したい為、日本にて予約) 5/18 宿泊先 Gite Azukorria ブルゲーデでの宿泊(5/19 ピレネー山脈越え、長丁場。宿泊先確保の為) 5/19 宿泊先 Hostal Burugete サンチャゴ・デ・コンポステーラでの宿泊(2泊3日) 宿泊先 Hotel Avenida サンチャゴ駅→マドリッド駅(月曜日、バス、列車共に満席。早めの予約を) 夜行列車 マドリッドでの宿泊(2泊3日)(KLM日本へのフライト変更申請。3日後) 宿泊先 Hostal El Cruce マドリッド空港→アムステルダム空港→関西空港 |
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11.費用面 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
合計 最低36万円/人(リッチに過ごすと、4~5万円アップか?) (但 アルベルゲ主体の宿泊。朝・昼食はスーパー調達、夕食は巡礼食が主体の場合) <内訳> ● 飛行機 20万円(帰り便フリー・往復 18.5万円。変更手数料1.5万円) ● 列車 2万円(TGV、普通列車) ● 宿泊 6万円(8泊ホテル、アルベルゲ23泊) ● 食事 5.5万円 ● 旅行保険 2.3万円 以上 平田和彦 記 |
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