インド通信
2009-1-14〜2-5
神原克收
            1.旅の概略
            3.テロの後遺症
             5.貧富の差
             7.運転事情
             9.鉄道事情(その2)   
            11.鉄道事情(その4) 
            13.食事事情(インドカレー) 
            15.食事事情(ベジタリアン料理)
            17.アルコール事情(禁酒は建前?)
            19.宗教
            21.ガンガー(ガンジス河) 
            23.公害
            25.マナー 
            27.結婚式 
            29.建築現場は人力が主役
            31.遭引事情 
            33.外人価格
            35.写真を撮られたい
            37.積荷制限はないの?
            39.通勤風景
            41.世界一のガジュマル
            43.カジュラホ ]
            45.インドあれこれ(2)         
           2.テロの影響は深刻
           4.7年前との比較
           6.道路事情          
           8.列車事情(その1)
          10.鉄道事情(その3)
          12.食事事情(マサラ文化)
          14.食事事情(主食)
          16.アルコール事情(禁酒の州に注意)
          18.紅茶
          20.カースト制
          22.物価と給料(1ルピアRp≒2円)
          24.天然ガス車
          26.服装
          28.停電
          30.学校
          32.徒弟制度
          34.インドの言語
          36.バスはおんぼろ
          38.イギリスの遺産
          40.通学風景
          42.18世紀の天文台
          44.インドあれこれ(1)
          46.費用報告(完)


.旅の概略

 今回の旅はインド西部・北部・東部の主要都市を回る22日間の旅で、メンバーは一昨年のアメリカ国立公園巡りと同
 じく会社同期の
3夫婦である。

 訪れたところは地図でご確認いただきたい。ムンバイ⇒デリー⇒コルカタとインドの中部を西から東へ横断した格好
 である。

 今回の特筆ものは6人全員が下痢の一つもせず、無傷で帰国出来たことであろう。

強く印象に残ったことを以下に列挙し、詳しくはおいおいご報告したい。

・テロの影響が想像以上に深刻で海外からの観光客は80%減とのこと。

・宗教が生活の中にどっしりと腰を下ろしていて、それにカースト制度が絡み合いとても日本人が理解できる代物とは
 思えない。

7年前に比べ道路は随分良くなったが、それでも中国と比較するとインフラ整備が遅れ、経済発展で大きく水をあけ
 らている。

・食べ物は毎日カレー、カレーの連続であったが、意外とわれわれの口に合い、新鮮な驚きであった。

・ベジタリアン料理は歴史があるだけに想像を超える美味しさであった。

☆ 経路 

  ムンバイアウラガバードムンバイアフマダバードウダイプールジャイプールアグラ
ニューデリーカジュラホベナレスコルカタ



☆ 移動手段
      列車(黒線)マイクロバス(緑線飛行機国内線(赤線




                         旅の仲間6人(タージマハールにてて)

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2.テロの影響は深刻


 ムンバイでイスラム過激派によるテロ事件が発生したのは昨年の1126日である。テロの影響は随所に見られ特に観光産業に与えた影響は計り知れない。ガイドやホテルなどの関係者の話ではテロ以後の観光客は8090%減とのこと。

関係者には気の毒だが、どこも空いていて今回の旅行にはいいことづくめであった。以下観光地の惨状をお伝えしたい。

・ムンバイの観光地エレファンタ島へ渡る船は殆どが開店休業状態                           ・アジャンタ、エローラ観光の玄関口オーランガバードのホテルはガラ空きでレストランも客の姿はパラパラ。ホテ ルのスポーツジムは貸切状態、バーに行ったら今日のお客さんは3人で昨日は6人だったと嘆いていた。ア ジャンタ・エローラの石窟寺院もお陰でゆっくり見学出来た。                               ・ジャイプールのアンベール城で象に乗ったが、日曜日にも拘わらず待ち時間ゼロ。テロ以前なら週末は長蛇の  列で乗れない可能性が大とのこと。                                               ・ジャイプールには今回利用した現地旅行社バイシャリトラベルのバスが昨年までは毎日10台は入っていた。し  かしこの日は我々のマイクロバス1台のみ。                                          ・バイシャリトラベルは日本人専用の旅行社だが、テロで300組の予約客のうち25組だけが予定通りで残りは全 てキャンセルされたとのこと。








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3 テロの後遺症

・テロ事件の現場となったタージマハールホテルで昼食をご馳走になったが、車の爆発物検査、荷物や身体チェッ クなどを受けた。テロ以前にはなかったことらしい。ホテル内での写真撮影も禁止でお見せできる写真はない。118日のムンバイ市民マラソンには35,000人が参加した。TV放映で「First Mega Event after 11/26」のテ ロップが何回も流れ、テロ後遺症の深さを感じさせた。

・街のあちこちに土嚢を積んで銃を持った警察官(軍人かも)が常時警備している。しかし滅多に起こらないテロリ ストとの銃撃戦に備えての警備だけに緊張感の維持は至難の業なのだろう。ガイドの話では彼らの持っている銃 は「気の毒なくらい旧式」とのこと。

4つ星ホテル以上のホテルは全て車の爆発物検査を行っていた。これとてもおざなりで、検査のための検査の 感は否めなかった。














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4 7年前との比較

 インドは2002年以来2度目である。7年前と比べると大きな変化が感じられる。

@  道路が非常によくなった。

以前の道路は酷かった。幹線道路であるデリー〜ジャイプール〜アグラは高速道路と言いながら、道のあちこちに大きな穴があいていて、とても真っ直ぐには走れなかった。今回は舗装もきれいになり、中央分離帯に花や植木が施され、両サイドの並木がかなり整備され様変わりであった。

それでも中国と比べると道路整備の遅れは顕著で、この遅れが彼我の経済発展の差になっていると思う。

A  物乞いが減った。

今でも観光地や駅構内などでは物乞いが付き纏う。しかし以前ほどの激しさやしつこさはない。「押し寄せる」という雰囲気は全くない。それよりも地域によっては物売りのしつこさの方が以前と変わりないように思えた。

B  都心部での牛が大幅に減った。

ニューデリー、ムンバイ、コルカタの3大都市では政府が禁止措置をとっているとかで、大幅に減っている。大都市ではあと数年で姿を消すのだろうが、地方都市ではまだまだ牛様が幅をきかせている。


 











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5.貧富の差

 インドは貧富の差が非常に大きい。インドの金持は日本の金持とは比較にならにくらいの大金持ちらしい。金持ちの実態を見ることは不可能だが、貧しい方は至る所で観察できる。

 以下写真でご紹介するが、これらの写真がインドの全てでないことだけは強調しておきたい。ただ、貧しい人の割合が中国と比べると遥かに多いのも事実である。

 政府は最貧層の嵩上げを狙って、最低賃金(Rs120/日=240円)での雇用を保証していて、かなりの効果は上がっているようだ。しかし、就職申請すら出来ない貧困層が多く、政府の狙い通りには嵩上げは進んでいないとのこと。申し出た人は清掃などの簡単な仕事が与えられるため、道路の清掃は結構行き届いているところが多い(清掃の尻から汚すのだが…)。

 

 

 

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6 道路事情

 幹線道路は7年前とは比べ物にならないくらい良くなった。しかし良くなったのは日本流に言えば主要な国道のみで、それ以外の国道や地方道の整備はまだこれからである。中国と比べると大きく水を開けられ、それが彼我の経済発展の差になって表れている。

 今回主要国道はウダイプール→ジャイプール→アーグラ→ニューデリーを車で走った。途中目についたことを報告したい。

(インドでは主要国道は「高速道路」と呼んでいるが、自動車専用道路ではない)

 ヒンドゥ教では牛は聖なる動物なので、道路にもいることは広く知れている。しかし牛以外の動物も結構「高速道路」を歩いている。ラクダ、羊、犬、豚とまるで動物園である。

 インドの道路の障害物は動物だけではない。人の横断は当然として馬車、トラクターなどの低速車もいれば、時々逆走してくる車や単車がいる。要は何でもありの世界で、この大らかないい加減さがインドの魅力でもある。
  

  

  

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7 運転事情

 インドも運転マナーは決して良くないが、それでも中国よりはまだましだ。

・混雑時の割り込みは正に芸術的で日本人にはとても真似が出来ない。

・無用なクラクションは7年前より減ったが、まだまだ健在。

・車線変更するときウインカーは殆ど出さない。

・車線を守らない車も多い(常時割り込みの機会を狙っている)。

・バックミラーのない単車が結構多い(目見当で2割程度か)。

・自転車はほぼ100%が無灯火。

・夜間通行量の少ないところは、幹線道路といえども信号無視が当たり前。運転手に聞くと「赤信号で停まると追突される」との答え。どこかで聞いたセリフではある。

・大都市では駐車場不足で、路上駐車もピッタリくっついている。「出る時は前後に押して隙間を作る、バンパーはそのためにある」。全く仰せの通り。

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8 列車事情(その1)

 インドの鉄道は1853年開通で日本より19年早い。総延長は63,000Km超で米・露・加・中に次いで世界で5番目である。インドには軌道幅が4種類存在する。広軌(1,676mm)、狭軌(1,000mm)2種類のナローゲージ(762mm/610mm)である。

これはイギリスが植民地インドの力を削ぐ目的で分割統治するため意図的に作られ、それが今日まで尾を引いている。

 今回は昼間2回と夜行寝台1回の計3回乗った。どの列車も古く中国と比べると大きく見劣りする。以前は2〜3時間遅れは当り前であったらしいが、今回はほぼ時間通りに到着した。但し、出発時間は40分以上遅れることもあったが、到着時間は概ね正確であった。

 ガイドの話では不振続きの国鉄が現在の鉄道大臣の改革で蘇ったとのこと。ポイントは従来信頼の置けなかった貨物の到着時間順守を確約したことらしい。







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9 鉄道事情(その2)

 驚いたのは駅の構内で線路を渡る人が多いことである。どこの国でもプラットホーム間の移動は跨線橋か地下道を通る。しかしインドでは何故か線路を渡る人が多い。それも若い男性だけでなく老若男女みな同じである。太った女性が線路からホームに上がるのに苦労しているのを見ると、なぜ跨線橋を渡らないのか不思議でならない。駅員も制止する素振りも見せない。      最近大きく改善された列車の遅延だが、日本人の感覚からすると実にルーズだ。ベナレス駅でのこと、列車の到着が40分以上遅れたが、ホームに表示される電光掲示板には「RTRight Time)」と表示されていた。インドでは30分程度の遅延は全て「RT」のようで、このいい加減な大らかさが時間セレブの年金生活者には何となく心地いい。                          









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10 鉄道事情(その3)
ンドの鉄道はエアコン付き以上のクラスであれば「擬似飛行機体験を提供する」というコンセプトで運営されているとのこと。
1 テレビ
昼間走る列車でテレビ付の列車に遭遇した。テレビ付というのも飛行機を意識したサービスなのであろうが、見ている人は少ない感じ。
食事などのサービスも飛行機並みの部分があった。ムンバイ〜アフメダバードの列車で受けたサービスを列挙する。
  ・ミネラルウォーター配布・新聞配布・チャイ(インド式紅茶)のサービス・朝食・ジュース・スープ(スナック付)・昼食(質も   飛行機並 )・アイスクリームと次から次へとサービスしてくれる。しかも全て無料。これで価格は飛行機の5分の1とのこ   と。1車両に2人いる 乗務員はサービスでとても忙しい。
                                           それ以外にも列車は古いが機能的には面白いものが散見できた。  
モバイルチャージャー                                                                 列車に乗れるクラスの人達にはケイタイ電話が、必需品なのであろう。  
ペットボトルフォルダー                                                           日本でペットボトルを持ち回る風習が拡がったのは1015年くらい前からと思うが、発展途上のインドでこれだけ普及するのは暑さのせいなのか? 
荷物吊下げ用のフック
盗難予防のための荷物用フック


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11 鉄道事情(その4)
その他インドの鉄道で目についた風景をご紹介しよう。
・駅はいつも混雑している。列車待ちをしているのか、床面で寝ている人が結構多い。                      
・車両は古く傷んでいる設備が散見される(座席のテーブル、割れた窓など)。                           ・昔懐かしいポーターが大活躍。インドでは雇用確保の面でも有効な手段。                             ・寝台列車に乗ったら、乗降口に乗客名簿が貼り出されていた。                                   ・駅の洗車設備は周辺に住む貧困層には格好の洗濯場であり、シャワー代わり。                         
                            
何はともあれ、昭和20年代に日本の国鉄でみた風情が感じられ、ある種の郷愁を覚える。




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12 食事事情(マサラ文化)

インド料理に欠かせないのがマサラである。マサラとは植物の種・実・葉・茎・根から作られた香辛料で、

その根底にはスパイスと新鮮な野菜を使って人体を癒すアユルヴェーダに根差した考えがある。

マサラは100種類くらいあると言われているが大きく分けて香り付け、色付け、辛味付けの3つに分類される。

これらをさまざまに調合し香り・色・味を調える。

マサラはカレーは勿論のこと殆どの食べ物やスナック菓子、紅茶にまで使われ、インドの食文化はマサラ

抜きには語れない。日本料理を語る時味噌・醤油抜きには語れないのとよく似ている。

外国人に本当の日本食は作れないのと同様に、インド人以外に本当のインド料理は作れない。

それはマサラを使いこなせないからに他ならない。


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13 食事事情(インドカレー)

インド料理はカレーが基本である。デリー、ムンバイ、コルカタなどの大都市を除いてカレー以外の選択肢は極めて狭い。味は概ね日本人の口に合うのでそんなに戸惑うことはない。しかし日本のカレーとは全く違う。インドの香辛料を使った煮込み料理をまとめてカレーという。

インドのカレーは汁状で主食のナーンやご飯と一緒に食べる。日本のカレーは肉と野菜を一緒に入れるが、インドカレーは肉にしろ野菜にしろ1種類のみで調理する。

 カレーの種類は食材の数で制限されるが、それをマサラ(香辛料)で味を調え、各店や各家庭で味を競い合うので、カレーの種類は無限に近い。但し、家庭で食事に供されるのは毎日23種類程度と意外に少ない。どこの店でも必ず出てくるのは小豆のような豆のカレーで香辛料は殆どなく、食べやすいし飽きもこない。

それ以外に野菜系ではジャガイモ、グリンピース、ホーレン草、カリフラワー、キャベツ、ナス、オクラ、トマトなどのカレーはポピュラーだ。

肉系ではマトンとチキンが主流で、宗教的な事情で牛肉や豚肉は使わない。一番高級な肉はチキンとされている。

カレー以外で有名なのはタンドリーチキン。ヨーグルトに漬けたチキンに様々な香辛料をかけ、タンドゥリーという土でできたカマドで焼いたもの。


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14 食事事情(主食)

 インドの主食はナーンと思っている人が多いのではないだろうか?北インドではナーンなどの小麦系が中心だが、南インドでは米文化である。勿論北インドでも米のご飯は供される。

 今回は中・北部を旅したので、ナーンの美味しさに魅了された。一口にナーンと言っても大きく分けて3種類がある。それぞれに美味しいが私には狭義のナーンが一番。

・チャパーティー(無発酵の小麦粉を鉄板の上で薄く焼いたパン)

・プーリー(チャパーティーを油で揚げたもの)

・ナーン(発酵させた小麦粉をタンドゥールという土で作ったカマドで焼いたもの)

 米は長粒米で日本のように「ご飯」として食べるとパサパサで不味い。しかしカレーと一緒に食べるときは長粒米の方が合う。日本人はアジアの長粒米を「不味い」と馬鹿にする傾向が強いが、それぞれ独自の料理方法に合う米が作られている訳で、日本人の長粒米に対する偏見は改めねばならない。



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15 食事事情(ベジタリアン料理)

 日本では馴染みの薄いベジタリアン料理だがインドでは非常に多い。ヒンドゥ教徒にとって牛は神聖なもので絶対に食べないし、カーストの上位の人は牛だけでなく肉そのものを食べない人が多い。また、イスラム教徒にとって豚は不浄の動物で絶対に食べない。インドで90%以上を占める両教徒にとって共通に食べられるのはチキンやマトンなどに限られる。

 そんな訳でインドでは約60%がベジタリアンで、殆どのレストランがベジタリアン向けのメニューとノンベジ向けメニューの両方を備えている。客席を分けているところも多い。

 ベジタリアン料理はさぞ味気ないと予想していたが、実際に食してみると実に美味い。肉けなしでどんな細工をして豊かな味を出すのか不思議ではある。やはり伝統に培われて作り出された独特の食文化なのであろう。

 日本でも美味しい精進料理があるが、それとは喫食人口の厚みが圧倒的に違い、日本人には絶対に真似の出来ない食文化に違いない。


野菜カレー
 
ナーンとカレー

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16 アルコール事情(禁酒の州に注意)

 インドは愛飲家の旅行者にとっては要注意の国である。人口構成はヒンドゥ教徒が81%、イスラム教徒が14%と両教徒で殆どを占める。イスラム教は禁酒が厳しく求められており、ヒンドゥ教もイスラム教ほど厳格ではないが禁酒である。従ってアルコールを出さないレストランが多い。しかし出す店もあるから事前にチェックすれば大した問題ではない。

ところがアルコール全面禁止の日や地域があり、そこでは販売もしないので注意を要する。

・グジャラート州はジャイナ教徒の影響で常時全面禁酒

・祭日と給料日(毎月1日と7日)は全国的に禁酒とのこと。理由は判らない。

 同行のMさんは大の愛飲家でグジャラート州での2日間アルコール抜きを強いられ、ボヤクことしきりであった。グジャラート州から飲酒OKのラージャスターン州に入り、待望のビールに相好を崩すMさんの笑顔が印象的であった。


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17 アルコール事情(禁酒は建前?)

 酒で一番ポピュラーなのはビールである。高速道路沿いのレストランでは大瓶を190円(95ルピア)で売っていた。ガイドが行く先々で探し求めていたのが透き通ったブルーの蒸留酒(名前は聞いたが忘れた)。ジャイプールのレストランで見つけ早速賞味した。40度くらいと強かったが味は結構いけた。

 ベナレスでは地元の「どぶろく」を試した。レストランで「サービス」と言って出してきたが、後でチェックするとチャッカリいい値で請求していた。味はまぁまぁだったので、まぁいいか!

ヒンドゥ教徒は原則禁酒だが、それは建前だけでこっそり飲んでいる人は多い。今回のガイドもその一人で大の愛飲家であった。結構酒は強く毎日楽しんでいたが、自宅へ帰る2日前からは禁酒を厳しく守っていた。理由は匂いで奥さんに飲酒がバレるからで、バレたら夫婦間では大きな問題に発展するとのこと。

また、結婚披露宴でも宴会場にはアルコールはないが、会場の外にはアルコールを積んだ車が待機していて、愛飲家は適宜その車で喉を潤すとのこと。


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18 紅茶

 インドは紅茶でも有名である。インドで紅茶といえば「チャイ」を思い起こす人も多いだろう。チャイは紅茶を沸騰させミルクと砂糖を入れた甘い紅茶で、インド人はこのチャイが大好きで一日に何杯も飲む。インドでは水質が良くないので砂糖やミルクを入れるのではないかと推察している。街ではチャイを売っている店は至るところにある。

 インドはイギリスの植民地だった影響で紅茶が生活に定着し、コーヒーはホテルなど限られたところでしか見られない。

 インドでは大きく3つの産地に分かれ、産地によて味や用途が異なる。

・タージリン…急斜面の高地で栽培され、色は薄いが香りは高い。ストレートで味わうのに適している。

・アッサム…平坦な低地で栽培され、色は濃くミルクティやレモンティに適している。インドではチャイに最適と言われている。

・ニルギリ…多雨の南インドの丘陵地帯で栽培され、ミルクティ、レモンティやブレンドして楽しむのに適している。


チャイの容器として一般的に使われているわけではない 


一杯10円(20円だったかも?)


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19 宗教

  インドの宗教構成はヒンドゥ教81%、イスラム教12%と両教徒で93%を占めている。

  仏教発祥の地でありながら仏教徒は0.8%とキリスト教2.3%、スィク教1.9%よりも少ない。

日常生活と宗教の結び付きは日本とは比較にならないくらい深い。

 牛肉や豚肉を食べない、アルコールを飲まない、年中ターバンやマスクを着用している、

髭を生やしている、ガンジス河での沐浴等の行動は全て宗教から来ている。

また、お寺やモスクでのお祈りの真剣度は日本の比ではない。

 キリスト教世界の欧米ではイスラム教徒を危険視する傾向が強いが、歴史的に見るとキリスト教徒の方がより横暴である。

「イスラム=危険」という構図はキリスト世界からの一方的な見方であることに留意が必要だ。

 インドでは色々な宗教が平和共存していて、ヒンドゥ寺院とイスラム教のモスクが至近距離で共存することも多い。

但し、カシュミール地方では深刻な紛争になっているので、一筋縄では行かない。


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20 カースト制

 インドではヒンドゥ教とカースト制が渾然一体となって人々の生活を支配している。カーストは特に結婚や職業面で大きな影響を与えている。近年恋愛結婚が増えてきてはいるが、それも同一カースト同士での話であり、カーストを超えての結婚は殆ど成立しない。

 ヒンドゥ教徒は輪廻思想を信じている。人間の霊魂は前世の行いに従って転生を繰り返すという思想である。職業も前世の所業の結果得たもので、それを現世で変えることは罪であり、決められたカーストや職業の義務を遂行することによって功徳を積み、来生に備えるという思想である。

 この輪廻思想がある限り、容易にカースト制が崩れるということは考えられない。現地で接触したインド人のほぼ全員に「カーストがインド近代化の邪魔をしていると思うが、カーストは必要か?」と聞いてみた。全員が「カーストが崩れたらインド社会は制御出来なくなるので、絶対に必要だ」という返事が返ってきた。

 われわれ日本人がしたり顔で「カーストこそインドの発展を妨げている諸悪の根源だ」と講釈を垂れること自体がおこがましいのかも知れない。



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21 ガンガー(ガンジス河)

 ヒドゥ教徒にとってガンガーは特別な存在だ。ガンガーで沐浴をし、死後遺灰をこの河に流してもらうことが至上の喜びなのだ。

ガンガーの聖なる水で沐浴すれば全ての罪は浄められ、死後遺灰をガンガーに流してもらえば輪廻からの解脱を得るという。

ガンガー流域の中でも特に人気があるのがバラナシ(ベナレス)である。それはインドで絶大な信仰を集めているシヴァ神の聖都と言われているからである。

人々は全国からバラナシを訪れ、一日中大勢の人でごった返している。

大半が沐浴をするためだが、中にはここを死地と定め、ここに留まって死を迎えるために来る人もあとを絶たない。遺灰をガンガーに流してもらうためである。

河岸(ガート)では朝から晩まで沐浴する人が絶えず、泣き叫ぶ子供を宥めながら沐浴させている姿が印象的であった。場所によっては火葬の煙が随所で上がっている。

ガイドに「自分の子供をここで沐浴させるか?」と聞いたら「ここは不衛生だから、もっと上流のきれいなところで沐浴させる」と言っていた。

「でもガンガーでは沐浴させたい」とのこと。


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22 物価と給料(1ルピアRp≒2円)

 断片的だが聞いた物価と給料について記しておきたい。

1政府が定める最低賃金は120Rp/

2給料

・ムンバイの観光船で働く船員 11.5Rp/

・デリーのメイド 8:00-17:00 昼食付き 2000Rp/月、 

泊り込み 3〜4000Rp/

・運転手の助手 120Rp/

3ガソリン 50Rp/L(10Km走る)、 天然ガス 18Rp/Kg(30Km走る)

4タクシー アーメダーバード2030Rp/2Km 、 コルカタ40Rp/Km

5バス コルカタ 4Rp/

6インターネットカフェ デリー15Rp/H、 ジャイプールのホテル150Rp/30

7ビール 高速度道路脇のレストラン 大瓶95Rp

8列車内販売のチャイ 5Rp/

9プロパンガス 6人家族1ヶ月 570Rp

10自動車 スズキ1500cc  72Rp、 スズキ軽 21Rp


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23 公害

インドも大気汚染は酷いに違いない、と思っていたが、案に相違して大したことはない。中国ではなかなか青空にお目に掛れないが、インドでは大都市でも青空を眺めることが出来る。中国に比べると遥かにマシである。

その原因は素人には判らない。両国とも経済成長が最優先で公害問題に目が行くほどの余裕はない。要するにインドは中国ほど経済が発展していないということで、中国並に発展すると同様の大気汚染に見舞われるのではないか?

次の3つの数字が何かのヒントにはなると思う。

1自動車の保有台数は2006年と少々古いデータだが、インド1700万台に対し中国は3600万台で、中国の47%である。

2石炭産出量は中国が世界の31.2%、インドは8.7%で中国の28%

3電力量に占める原子力発電のシェアはインド2.5%に対し、中国は2.1%に過ぎない。因みにトップはフランスの76.9% 、日本は27.5%



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24 天然ガス車

 前回の公害に関係する話だが、インドでは天然ガスで走る車が結構いる。中国ではお目に掛れない風景である。

 ニューデリーとコルカタでタクシーの長蛇の列に出くわした。何かと訊けば天然ガスを入れる為の行列だとのこと。それにしても長い列で、最後尾の車がガスにあり付くには相当の時間を覚悟しなければならないだろう。

 価格を訊くと18Rp/Kgで約30Km 走れるとのこと。因みにガソリンは50Rp/Lで約10Kmの走行。1km当たりのコストはガソリンの僅か8分の1である。これだけ安いのだからもっと給ガス施設を作れば良さそうなものだが、何故か増えないのだそうだ。インドのインフラに対する鈍感さが出ているのかも知れない。

それともガスの供給が追い付かないのか、解らんなぁ。


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25 マナー

 インドのマナーは思ったほど悪くはない。日本人から見ていただけないのはゴミのポイ捨てと車のマナーである。

中国人と比較すると割り込みは遥かにインドの方が行儀いい。バスへの乗車は列を守るし、列車の切符を買うにも行儀よく並んでいる。

痰つばは日本ほど行儀よくはないが、もともと手洟の習慣がないのか、中国よりはましな感じだ。

 鉄道駅ホームの線路の汚さは相当ひどく、中国の方がはるかにきれいだ。

寝台列車に乗り込んだとき、ゴミを捨てようとホームでごみ箱を探していたら、複数の人が「ここへ捨てろ!」と親切に言ってくれる。

皆が捨てろと言ってくれるところは線路なのである。線路は特大のごみ箱なのだ。

 車のマナーはアジア共通で車優先社会だ。日本の感覚で「停まってくれるはず」は絶対に通用しない。


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26 服装

 服装といってもファッションのことではなく、厚着・薄着のことである。観光地で出会う学生の服装を見ているとセーターから半袖まで様々だ。アメリカのように多民族国家なら寒暖の感じ方は千差万別で、毛皮のコートの横で半袖の人が同じ交差点で信号待ちをしていても不思議ではない。

 しかしインドはそれ程の多民族国家ではなく、極端な差異はないものと思っていた。しかし何回か出会った学生集団の服装は夏用から冬用までと幅広く、同じ学校の生徒がこれだけ様々な服装をしているのには驚ろかされた。

 理由は解らない。経済的な理由で服が買えないという風には見えない。日本よりは個性を主張する自由度が高いのだろうが、それにしても暑い、寒いまで無視して個性を発揮することはないと思うが、あぁ、解らん!


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27 結婚式

 インドで娘が3人いるとマハラジャでも破産すると言われる。インドには昔から「ダウリ」という風習がある。日本の結納金は男性から女性に渡されるが、インドでは女性から男性に渡す。これがダウリである。金額も男性の年収の数倍という過酷さで、これが払えなくて結婚出来ない女性も多いという。ダウリが少ないと結婚後花嫁は新郎の親族に相当いびられ、辛い結婚生活になるという。

 ダウリは1961年に法的に禁止されたが、そんなものどこ吹く風、カースト制度同様今でも確実にインド社会を縛っている。

 ガイドの場合年収が50万ルピアくらいの時に結婚したらしいが、受け取ったダウリは150万ルピアで、本人も50万ルピア掛ったとのこと。

 披露宴も日本とは趣が大いに異なる。収入がそこそこの人なら5001000人は来る。招待状は出すようだが指定席ではなく、招待状のない人も結構参加するらしい。従って会場も大きな会場でなければならず、通常は公園や広場にテントを張って会場にする。適当な空き地がなければ道路を占拠してテントを張るが、苦情は一切出ないとのこと。

 いやはや、インドで結婚するのは大変ですぞぅ。


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28 停電

 インドを旅行しているとしばしば停電に遭遇する。電力のインフラはまだまだ整備途上ということなのだろう。

電力に限らず道路や通信設備などのインフラ整備で中国に大きく後れをとっていることを嫌が上にも感じさせてくれる。

 今回宿泊したホテルではどこでも部屋にローソクが常備されていた。停電が日常茶飯事に起きることの証左である。

 どこのホテルか忘れたが、エレベーターに乗っていて停電に合い、突然停止した。数分後に自家発電に切り替わり事なきを得たが、数分とは言え閉じ込められた気持ちは穏やかではなかった。

 ある街で土産物屋へ入ったら薄暗い店内に数人が座っていて異様な雰囲気。我々が行くと慌てて自家発電機のエンジンをかけ、

照明を点けてくれた。停電になっても客がいない時は自家発電機を停め燃料の節約を心掛けていたのであろう。


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29 建築現場は人力が主役

 発展途上のインドでは建築工事現場は至る所にある。しかし日本の現場とは趣が大きく異なる。

日本の現場では建機が主役だが、インドでは人力が主役である。勿論大きな現場ではクレーンなどの主要な建機はある。

 穴を掘るのはユンボや掘削機ではなく人力、資材運搬は人が頭に載せて運ぶ。

コルカタではパイルの打ち込みまで人力でやっているのに出くわし、思わず唸ってしまった。

 また、足場は日本なら鋼鉄のパイプで組むが、アジアでは竹や木材で組むのが一般的。

インドもご多分に漏れず木材で組んでいる現場が多かった。

 こうした人力頼みは当然のことながら人件費が安いのが原因だ。インドの法定最低賃金は120Rp/日(240円)だが、

それ以下の賃金も多いとも聞く。

一体賃金がどこまで上がると機械に置き換わるのだろう?でも雇用の確保という点では実に効果的であることは間違いない。


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30 学校

 エロティックな彫刻で有名なカジュラホで学校を2ヶ所見せてもらった。どちらも小学校である。先ず写真をご覧いただきたい。

デリーやムンバイのような大都市ではもう少しまともな建物で勉強しているようだが、地方では大なり小なりこんなものらしい。

比較的貧しいラオスやカンボジャでももう少しましな建物である。教育レベルを建物などのハードで判断することは出来ないが、

インドのインフラ整備の遅れを教育分野でも垣間見た思いがした。学校に近所の幼児が紛れ込んでいたが、

誰も咎めるでもなく大らかなものである。それでも子供たちの表情は明るく屈託がない。

この明るさと目の輝きは豊かな国の子供を凌駕していると感じるのは贔屓目だけではないと思うが、如何であろうか?


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31 遭引事情

 インドで結婚するには同一カーストという大きな制約がある。それ以外にも「ダウリ」という風習が女性を苦しめていることはNo27でご報告した。

 近年恋愛結婚が増えていることも報告したが、男女がデートをするのも大変な障害がある。

というのもインドは大家族制で家族全員がダウリ(女性からの結納)を当て込んでいるので勝手に結婚相手を決められると困るのである。

従って相思相愛の2人がデートするのも日本では想像も出来ないほどの苦労が付き纏う。

 コルカタで見た屋形船(写真)の意外な目的を聞いて驚いた。何んとラブホテルの役割を果たしているという。

3時間借りて1000ルピア(2000円)くらい掛り、労働者の1週間分の給料が吹っ飛ぶ。

船以外にファッションホテルの役割を果たしているのが車やオートリキシャーのチャーターとのこと。

 因みに赤線も健在で昼間でも随所に客待ちの女性が屯している。ガイドに値段を聞いたら300〜400円とのこと。

これからしても遭引がいかに高くつくかご理解いただけよう。


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32 徒弟制度

 日本では徒弟制度という言葉が消えてしまったようだが、インドではまだ健在である。どの分野でどれくらい残っているのかは判らないが、実例をバスの運転手に見たのでご紹介しよう。

 旅行会社のバスの運転手には必ず若い助手がつく。大した仕事をする訳でもないのだが運転以外の雑用は全て助手の仕事で、

運転手は運転以外の雑用は一切しない。

 助手の身分は見習社員で、給料は法定最低賃金の120ルピア/日。旅行会社のバスだから宿泊を伴う仕事が多いのは当然で、

その際の宿泊場所はバスの中である。これは夜間のドロボー対策にもなっている。食事代は運転手が全て面倒を見る。

 助手を3〜5年続けて運転免許を取り、道を覚えたことが認められて初めて正社員となるが、依然運転手の助手は続く。

更に3年くらい辛抱して2種免許を取ってようやく一人前になる。助手になって6〜10年くらい後のことである。

一人前になっても師匠の運転手を永遠に師匠として崇めなければならない。

 因みに運転手の給料はインドでは中流クラスで所謂「成功者」の評価とのこと。


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33 外人価格

 発展途上国の観光地で必ず見られるのが外国人価格である。その最たるものは観光施設への入場料であろう。

インドではタージマハールの入場料は外人750ルピアに対しインド人は20ルピア、石窟寺院で有名なアジャンタでは250Rs対10Rsアウラガバード近郊の砦では100Rs対5Rsといった具合で、ほぼ20〜40倍である。

これは経済の発展度と見事に(反)比例している。内外価格差の酷かった中国は経済の発展とともに、最近では外人価格がほぼ姿を消した。

タイでもまだ残っているとはいえ近年大幅に減少している。一方エジプトでも正確には覚えていないがやはり大きな内外格差があったように思う。

面白いのは中国で、殆どの観光施設は老人割引がある。それも半額とか全額と大幅な割引である。ところが担当者の胸三寸(気分次第)で「外国人はダメ」となる場合もあるからややこしい。


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34 インドの言語

 最初にシンガポールに行った時地下鉄の主要駅で車内放送を5カ国の言葉でしていたので驚いた。

多民族国家のインドではもっと凄まじく1000近い言葉が話されているらしい。

 インドの憲法では公用語はヒンディー語、補助公用語として英語、主要言語として22が決められている。

インドは民族的に北部のアーリア系、南部はドラヴィダ系と大きく2つに分かれる。

ヒンディー語はアーリア系の言葉で南部では今でもヒンディー語を公用語とすることに強い抵抗がある。

インドには紙幣が9種類あるがいずれにも15の言葉が表示されている。写真の表面の中央部分、裏面の左端にそれが読み取れる。

お札の人物像は全て建国の父と崇められるマハトマガンジーである。

余談ながら筆者は「紙幣のきれいさと民力度は比例する」と信じている。それに従うとインドの紙幣の清潔度は「まぁまぁ」で、この公式通りであろう。


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35 写真を撮られたい

 イランを旅したとき女学生にカメラを向けたら、周りにいた女学生全員が「撮ってくれ、撮ってくれ」で閉口したことがある。

インドでも閉口するほどのことはないが、カメラを向けると殆どが積極的に被写体になりたがる。写真をあげる訳でもないのだが・・・。

そう言えばタイやラオス、ネパールなどでも写真に入りたがっていたような気がする。

日本人のように極端にシャイでもなく、反対にヨーロッパ人ほど変なプライドもなく、向けたカメラに素直に反応してくれる。

彼らの顔の明るいのが何よりも旅行者の心を和ませてくれる。

何故これほどまでに写真に熱心(好意的)なのか?インドの人たちにとってカメラはまだまだ高級なぜいたく品で、好奇心の対象なのかもしれない。

しかし、タイでは既にかなりの普及品になっているので、贅沢品に対する好奇心だけでは説明が出来ないが、とにかくカメラには好意的だ。


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36 バスはおんぼろ

 インドではバスは鉄道と並んで国民の貴重な移動手段である。特に庶民の足という意味ではバスの右に出るものはない。ところがバスの古いこと!汚いこと!

列車も相当の年季ものだが、バスはそれ以上に年季が入っている。バスには木造のものも多く、木造バスの痛みは特に凄まじい。

それでも立派に現役を張っているのは見上げたもの。当然のことながら排ガス、公害、環境なんてものは、クソくらえ!である。

 乗用車には新しく、キレイなものが多い。タクシーは古いものが多いが、比較的新しいものも散見される。

これに引き換えバスや列車では古いもの以外に目につかなかった。やはり庶民のことは後回しにされるのであろう。


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37 積荷制限はないの?

 インドの道路を走っていると芸術的なくらい見事な積載オーバーの車を見掛ける。

人間満載で走っている車も相当なものだが、何と言ってもトラックの積み荷は思わず「お見事!」と声を掛けたくなる。

 インドにも道路交通法のようなものはあるらしく、時々検問で捕まっている車もいる。捕まっている理由は定かには判らないが、

何でも無制限というのでもなさそうである。

捕まってもアジアでは袖の下で解決するのが一般的で、インドも多分そうなんだろうと勝手に思っている。

 写真以外にももっと凄い積荷を見たが、残念ながら写真を撮ることは出来なかった。


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38 イギリスの遺産

 インドはイギリスの影響が色濃く残っている。1690年に東インド会社がコルカタに拠点を構えて1950年の独立まで260年、

1858年イギリスがインドの直接統治を始めてからでも独立まで100年強と長きに亘ってイギリスの支配を受けた。

イギリスも相当過酷な支配を続けたがそれでも現在反英感情は少ない。日本のような俄か成金には出来ない成熟した植民地支配術を持っていたのであろう。

 当然のことながらイギリスの遺産は多い。コルカタで道路脇に水利施設が点々とある。現在も人々の洗面所、浴場、洗濯場として活躍している。

これはイギリス統治時代の主たる輸送手段は馬車で、馬に水を飲ませるため造ったものである。従って2〜300年くらい前のものに違いない。

水源はガンジス河の支流フーグリー河である。


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39 通勤風景

 インドでも朝夕のラッシュ時は道路、鉄道、バスなど混み合い、所謂「ラッシュアワー」は日本以上に酷い状況のようだ。特に道路の渋滞は深刻で日本の高度成長期の渋滞を彷彿させる。

インドの地方の通勤風景は日本とはいささか違う。それは交通インフラの整備の遅れが原因である。日本なら近くまで鉄道かバスが必ずあるが、インドでは大都市の市内はともかく、少し郊外に出ると足の確保が出来ない場合が結構多い。勢い、写真のような通勤風景になるのである。

 聞くところによるとトラックは会社が用意するのではなく、白タクトラックが横行している。白タクと言ってもそれが通勤の足を支えているので、日本のような悪者イメージはさらさらない。インフラ整備の遅れを補いながら運転手にとってもいい小遣い稼ぎとのこと。世界どこでも必要あれば対策生ず、である。


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40 通学風景

 インドの識字率は65%(男76% 女54%)とまだまだ低い。進学率も11-14歳(中学校)61%14-18歳(高校)39%18-24歳(大学)7%と資料にある。

  最近は世界のハイテク関係の頭脳はインドに集中していると言われることが多い。インドでは貧困ゆえに学校へ行けない子供が沢山いる反面、

インド工科大学のようにアメリカのマサチューセッツ工科大学を上回る評価を受けている大学もある。

 写真はニューデリーで見掛けた通学風景であるが、学校へ行けるだけでなくリキシャーに乗って通学出来る中流家庭の子供たちである。

カメラを向けるとポーズをとる子、意識的に無視する子など様々な表情を見せてくれる。

撮影時期は1月下旬で彼らは全員長袖で厚着をしている。因みにその時私はTシャツ姿である。それにしても頭の良さそうな顔をしていると思いませんか?


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41 世界一のガジュマル

 コルカタ(旧名カルカッタ)でとてつもなく広い(大きい)木にお目に掛った。

先ず写真をご覧下さい。森全体が1本の木でできている。信じられますか?

名前  Banyan Tree

樹齢  250

樹の拡がり 1.5ヘクタール

根の数 2,900

この木は樹高25mとそんなに高くないが、枝から根を垂らし、それが成長するとそれを支えに更に根を垂らし、前後左右にどんどん拡がってゆく。

山一つが全て1本の木ということも不可能ではない。何とも逞しいと言うか、空恐ろしいというか、とんでもない木には間違いない。

頭の中をフッと「中国」という2文字が過った。


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42 18世紀の天文台

 ニューデリーの南にピンクシティとして有名なジャイプールがある。地名の「プール」とは「城壁に囲まれた街」という意味でインドには沢山ある。この街は18世紀前半にジャイ・スィン2世というマハラジャにより造られた。

 このマハラジャは天文学の造詣も深く、インド各地に5ヶ所の天文台を作った。その内で最大のものがジャイプールの天文台である。

 この天文台は極めて精巧にできていて、280年経った今でも立派に機能している。例えば時刻は2秒単位で計測出来るし、惑星や星の位置を正確に観測出来る。よく理解は出来ないが「地球の歩き方」の解説によると、黄道儀・子午線儀・星座儀・天体経緯儀などが備えられ、観測を通して暦の制作、雨季の到来や日照り、洪水、農産物の豊凶予測などを行った。当時これらの情報は国の盛衰を左右するほど貴重な情報であったに違いない。

 それにしても280年も前にこれ程の天文学の知識を身に付けていたとは恐るべき博学・才能である。因みにガリレオが地動説を唱えたのは1615年で、この天文台の出来る僅か100年あまり前のことである。


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43 カジュラホ

 なんとも凄まじい彫刻である。

ある解説書には「古代からのインド哲学では、『人間が持つ欲望・物質的な肉体そのものを否定せず、その中にこそ神がいるという思想がある。世の中は男性原理と女性原理の2つがあり、この2つが交わることで神の力を得る』と考える。タントリズムである。」と書いてある。

 このタントリズムが9〜12世紀にインドで流行し、丁度その時代にカジュラホの地に栄えたチャンドーラ王国の寺院群の彫刻に表現されたものである。王国では85の寺院が建立されたが、現存するものは25のみである。

別の解説書には「名も無い石工達が古代インドの性愛書『カーマスートラ』の教えを表現したものである。」と書いてある。それにしては大規模で統制のとれた彫刻群で、名もなき石工達が勝手に彫ったとはとても思えない。時の権力者の強い思いで作られたに違いない。

何種類かの解説書を見たが、どれも納得出来る説明はない。まぁ、理屈抜きに迫力ある彫刻をとくとご覧あれ。


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44 インドあれこれ(1)

1 お寺の石をチャッカリ借用

 ベナレス近郊の村を見せてもらった時、民家の片隅で明らかにお寺から持ってきたと思われる石を見付けた。

廃材利用なのか、盗用なのかは勿論不明。

2凧揚げ大好き

 インドで凧揚げは人気スポーツらしい。街のあちこちで電線や立ち木に引っ掛かった凧が見える。

日本なら目くじらを立てて「凧揚げ厳禁」の声が飛んできそう。

3綿花の産地

 デカン高原にアウランガバードという街がある。その郊外で「インドは綿の産地」を実感した。

収穫した綿花を積んだトラックが列をなして停まっていた。また近くの工場では綿花を野積みしている光景に出くわした。

4不動産バブル

 アメリカ発の世界同時不況前はインドも結構バブルっぽい状況だったらしい。ムンバイのマンションが10年前は1,000万円で

買えたものが昨年は5,000万円、09年2月時点で3,500万円とのこと。今は下がっているのか、上っているのか興味津々。


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45 インドあれこれ(2)

5歩道は通れない

 横断歩道の線は引いてあるが、行き止まりで渡れない。これと全く同じ光景を中国でも見た。何もインドの専売特許ではない。

 また、歩道には街路樹が立っていたり、店舗が鎮座していたり、バイクの駐車場になっていたりと、まともに歩けないところが結構ある。

勢い歩行者は車道を歩くことになる。同じ光景はタイのチェンマイでも見られる。

6インタネットの値段

 旅に出るとインターネットは欠かせない。最近のホテルは無料で利用できるところも出てきているが、まだまだインターネットカフェに頼るところが多い。

ニューデリーのネットカフェは1時間30円で、アジアは大よそこんな値段で利用しやすい。

ところがホテルでは大体ネットカフェの10倍は取る。ホテルの付帯サービスが高いのは世界共通なのか。

7サリーとターバン
 インドの服装で先ず思い浮かぶのはサリーであろう。女性のおしゃれの基本である。大きさは45cm×6mと決まっているらしく、

差別化は材質とデザインとのことだが、着こなしも大きな差があるように思う。でも仕立て代が要らないというのは魅力的だなぁ。

 ターバンも45cm×6〜8mとのことで、こちらの長さは一定ではないらしい。


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46 費用報告(完)

 今回の旅行に要した費用を記してインド通信を終えたい。

期間 2009114日〜24日 22日間

総費用 459,000/

内訳(単位:円) 

  飛行機   105,460・・・タイ国際航空

  旅行社支払 325,000・・・ホテル、食事、車、日本語ガイド、観光費用など

  現地費用   28,560・・・飲み物、追加観光費用、チップなど

旅行全般についてのコメント

1貧富の差は凄いが予想の範囲内で、「人生観が変わる」ほどではなかった。

2昨年11月のムンバイテロ事件の観光産業への影響は予想以上に甚大で80%減。

 これに今回のアメリカ発世界同時不況の追い打ちがどこまで影響するのか?

3中国と比べインフラ整備の遅れが歴然。中国ほどの急速な経済発展は無理と思う。
4今回はインドが初めての人が多く、日本語ガイドを付けると共に、ホテル・食事は3つ星クラス(地方都市では4つ星)と通常よりは少しグレードを上げた。

5特筆すべきことは3夫婦6人のうち誰一人として下痢ひとつせず。

6治安は常識的な警戒さえすれば、それほど心配することはない。

7食事はカレーの連続ながら意外と日本人の口に合い、飽きがこない。

8旅行社(バイシャリトラベル)について

 ・本社は東京、ニューデリーに営業拠点あり、社長はインド人

 ・インドの専門業者で扱いは日本人に限定。他社と比べ抜群にインドに詳しかった。

 ・現地ガイドも日本語、知識、態度ともに素晴らしく、次回も彼に依頼する積り。

                            以上 神原克收


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