マレーシア通信
神原克收 |
日本は大変寒いようですが、私は2月4日から3月3日までの1ヶ月間マレーシアに滞在中で、寒さ知らずの生活を楽しんでいます。前半はクアラルンプール、後半はコタキナバルを予定しています。
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目 次 |
1.多民族国家マレーシア |
2.車優先社会 |
3.親切心健在、マレーシア |
4.食事について |
5.ビール党奮戦記 |
6.地下鉄(その1) |
7.地下鉄(その2) |
8.地下鉄(その3) |
9.新都市・プトラジャヤ |
10.住宅ラッシュ |
11.格安航空会社「エアアジア」その1 |
12.格安航空会社「エアアジア」その2 |
13.4つ星ホテルのお粗末 |
14.果物の王様「ドリアン」 |
15. 馬鹿でかいショッピングモール |
16. クアランプール(KL)のコンドミニアム |
17. スポーツジム |
18. 運転マナー |
19. ムスリムのスカーフに思う |
20. ダヌンバレー(その1) |
21. ダヌンバレー(その2) |
22. ダヌンバレー(その3)蛭について |
23. 朝の散歩での空想 |
24. 地方空港 |
25. ブルネイについて
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26. ブルネイ(豊かなスルタンの国) |
27. ブルネイ(水上生活者) |
28. ブルネイ(省エネ意識) |
1多民族国家マレーシア |
マレーシアは多民族国家でマレー人66%、中国人26%、インド人7.5%が主たる民族である。それぞれが地域社会を構成して独自の生活圏を維持し、混血は進んでいないらしい。多民族国家と言われる所以である。
多民族のせいか我々日本人が街を歩いていても片言の日本語で話し掛けてはくるが、「外国人」という目で見られている感じはない。その分居心地はいい。
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食事もマレー料理、中国料理、インド料理は当然として、170年間のイギリス統治(1786年〜1957年)の影響で西欧料理も多い。日本人ビジネスマンの活躍で日本料理も多く、選択肢は広い。
街中でお茶を楽しみながら道行く人々を眺めるのは実に楽しい。
混血が進んでいないせいかマレー人、中国人、インド人とはっきり識別でき、それぞれが独特の衣装文化を育んでいるので、眺めていて飽きることはない。
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2車優先社会 |
マレーシアの車優先社会は徹底している。車は人が横断していても停まろうとはしない。日本の感覚で「停まってくれるはず」では事故の確率は高い。それ以外にも車優先社会の事例には事欠かない。三つの事例を挙げよう。
@ クアラルンプールで宿泊したコンドミニアムの前には大きな公園があり、朝の散歩に格好の場所を提供している。しかしながらコンドから公園までの間には横断歩道は全くなく、車の通行の多い道路を横切らないと行けない。
A コタキナバルで泊ったプロムナードホテルは4ツ星の立派なホテルである。道路に面して建っているが道路からこのホテルに入るための歩道は皆無で、宿泊客は写真のような高い段差を跨いでホテルに入るか、或いは少し遠回りして車道を歩いて入るしかない。
B コタキナバル中心街にセンターポイントという大きなショッピングモールがある。道路に面しているが玄関の辺りは全て車道で歩道は全くない。反対側の道路からも横断歩道はなく、当然車道を横切って渡るしかない。
それでも人々は全然困った顔をしないし、人権無視と大騒ぎもしない。悠然と日々の生活を送っている。
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3親切心健在、マレーシア |
マレーシアの経済はアジアでは優等生である。経済発展と共に人々の心が荒んでくるのは歴史が証明している。しかしマレーシアの人々はまだまだ温かさを失っていない。
宿泊したコンドミニアムから繁華街まではLRTという鉄道を利用することが多い。日中は5分間隔くらいで運転しているが結構混んでいる。しかし我々白髪頭が乗り込むと間髪入れず若い人が席を譲ってくれる。折角の好意なので有難く座らせていただき、「テレマカシー(有難う)」を連発し、そこから若者との会話が始まる。彼らは日本人には実に好意的で英語、日本語でドンドン話しかけてくる。この楽しみは何物にも代え難い。
ある日「レイクガーデン」という観光名所へ3夫婦で出掛けた。電車で隣に座った老女が「どこへ行くの?」と言うので、「レイクガーデン」と答えると降りる駅名は勿論、降りてからレイクガーデンまでの途中で寄るべき観光名所などを細々教えてくれた。
日本人にもこうした親切心は健在だと思うが、恥ずかしさが邪魔をして素直に行動に表せない人が多い。しかし多民族国家のマレーシアではそうした恥ずかしさとは無縁で親切心をストレートに表現してくれる。日本の若者も是非こうあって欲しいものだ。
コタキナバルにて 神原克收
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4食事について |
クアラルンプール(以下KL)では食事場所の選択肢は広い。屋台、食堂、カフェ、レストラン等など。最近はフードコートの普及が著しく食費を安くあげたい人には真に便利な存在である。この現象はKLだけでなくコタキナバル(KK)やチェンマイでも同様である。フードコートというのは大型ショッピングセンターなどには必ず併殺されていて、広い座席ゾーンの周囲を取り囲むように色んなお店が並び、客は気に入った店で料理を注文して空いている座席で食事をする。ここでの食事なら200〜400円と安上がりである。
安いのは良いのだが、料理を作っているのはアルバイトと思しき若者が多く、とても美味しいとは言い難い、当然である。食堂でもこの手の店が多く、味でガッカリすることも度々である。チェンマイとの比較で言えば味はチェンマイに軍配が挙がる。それでも便利な存在であることに間違いはない。
マレーシアの名誉のために付け加えると、2000円も出せば立派なレストランも沢山あり、価格は高いが味もいい。フードコートや食堂クラスでも全ての店が不味いのではなく、美味しく安い店があるのも事実である。数少ない体験ではあるが、KLよりはKKの方が当りの確率は高いように思う。
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5 ビール党奮戦記 |
マレーシアはイスラム教の国である。豚肉が食べられないことは周知のことだが、アルコールもご法度なのである。中国人が経営する本格的な中華料理店ではアルコールが飲めるが、殆どのレストランではアルコールが飲めない。
クアラルンプール(以下KL)では暑いのと油っこい料理が多いので、食事の際はビールが欠かせない。以下はビール党の涙の奮戦記である。
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食事前にスーパーでビールを買い、レストランに持ち込む。それを人前で堂々と飲むと必ずお店の人から注意される。やむを得ずこっそりと飲むのだが、ビール缶は外から分からないようにバッグに入れる。それを机の下か物陰で外部から見えないようにコップに注ぎ、お茶と見せかけて味わう。なかなかスリルがある飲み方で美味しさが倍加する。
でも卿に入っては卿に従わなくてはならない。日本人ロングステイアーのマナー違反を今はニコニコしながら見逃してくれているが、何かの拍子に非難に変る可能性無きにしも非ずである。「KLに住まわせてもらっている」気持ちを忘れずマナーは守りたいものだ。でもビールは要るなぁ、トホホホ・・・。
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6 地下鉄(その1) |
クアラルンプール(KL)は地下鉄網が整備されていて、ロングステイアーには有難い。地下鉄と言っても大半は地上を、それも高架を走っているので、鉄道網と言う方が正確だろう。
鉄道網は国鉄も含めて7路線が整備されているが全てが独立していて、乗り換えるには一旦外に出て切符を買い直さなければならない。経営主体が全て別なら仕方ないのだが、同じ経営主体の路線でも乗り換えるには、やはり駅外に出て新たに切符を買わなければならない。勿論ホームは繋がっていない。何故こんな馬鹿げたことになっているのか、研究に値するテーマであろう。聞くところによるとKLでは先ず最初に道路が造られ、その後に鉄道駅が造られたので制約が多く、現在のように大変不便なことになったとのこと。でも今からでもその気になれば、日本のように乗り換え駅を統合することは可能のように思うのだが・・・。
何はともあれ日本の3分の1くらいの料金は大きな魅力ではある。
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7 地下鉄(その2) |
地下鉄の不便さをもうひとつ。最も賑やかな繁華街がブキッ・ビンタンで日本で言うならさしずめ銀座というところだろう。ここにモノレールの駅がある。
ところがこの駅へのアプローチは1ヶ所のみで、階段は狭く、連絡通路も狭くて長い。プラットホームは当然のことながら2つあるが、一方のホームから陸橋を渡らないと反対ホームには行けないし陸橋の幅も狭い。要は繁華街の駅で出入り口は一ヶ所のみということである。ラッシュアワーにこの駅を利用したことはないが、日本でなら間違いなく事故につながるだろう。
プラットホームの下にはかなり広い歩道があるので、駅へのアプローチを新設しようと思えば簡単に出来るように素人目には見える。それを阻んでいる本当の理由は分からないが、ひょっとして日本と同じくお役所の縄張り争いか?と勘繰りたくなる。
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8 地下鉄(その3) |
クアラルンプール(KL)の鉄道は切符を買うのに混雑時なら少々時間が掛る。どこの駅でも切符の自動販売機が配備されているのは日本と一緒。しかし乗客は切符販売窓口に列をなす、自動販売機はガラガラにも拘らず。
自動販売機の使い方が難しいのが原因らしい。私も何回かトライアルしたが、慣れるまでは何回も失敗し結局窓口に並ぶ羽目になった。日本なら従業員がきて親切に使い方の指導をしてくれるが、KLではそんな親切心は露ほどもない。
聞くところによると切符の自動販売機は硬貨中心に設計されているらしく、紙幣のみでは切符は買えない仕組みになっているらしい(真偽のほどは不明)。
例えば1.2リンギットの切符を買う場合は1リンギット紙幣2枚ではだめで、RM1紙幣1枚+硬貨が必要。硬貨のお釣りは出る。 慣れればどうってことないと思うのだが、現地の人も自動販売機を敬遠し、空いている自動販売機を横目にしながら窓口に長蛇の列を作っている。何ともチグハグなことではある。
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9 新首都「プトラジャヤ」 |
マレーシアは2020年までに先進国入りするという「ビジョン2020」を推進中で、その一環として首都機能をクアラルンプール(KL)の南25kmのプトラジャヤに移転した。1995年に建設が開始され、ほぼ10年間で連邦議会を除く全ての政治行政機能が移転した。
2010年までには住宅や公園等の環境整備を整え、移転計画は完了する。移転が完了しても連邦議会と王宮はKLに残るので、正式な首都はKLのままである。
街は広々として整然と造られ、人工の湖を配し緑豊かで大変美しい。街の北の端には首相官邸とプトラモスクを広場を挟んで向かい合って配し、約5km離れた南の端には立派なコンベンションセンターを置いて夫々の芯に据えている。その間に政府地区、複合開発地区、市民・文化地区、商業地区、スポーツ・レクレーション地区を配置している。
日本でも首都機能を筑波へ移転する話があったが、官僚の抵抗でいつの間にか立ち消えになった。戦略が貧弱なのか、実行力に問題があるのか、いづれにしてもお粗末な話で、数年後に日本が二流国になり下がるのを予見させるに十分なプトラジャヤであった。
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10 住宅ラッシュ |
首都クアラルンプール(KL)と空港を結ぶ50kmの丘陵地帯を2020年までに先進国入りさせる「ビジョン2020」の中心に据え、そこに前回報告した「首都機能都市プトラジャヤ」と「情報都市サイバージャヤ」を構築している。
その周辺は大変な住宅建設ブームで建売住宅が凄い勢いで増えている。日本の高度成長期時代を凌ぐ勢いに見える。中には完成しているのに草ボウボウのアパートもあり、既に供給過多状態になっているのかも知れない(詳細は不詳)。
聞くところによるとマンションで800万円、戸建で2000万円程度らしい。こちらの住宅は広くマンションでも100u以上で3ベッドルームが中心のようだ。
場所も車がないとどうしようもない所のようだ。
貸しアパートでも事情は同じで、ワンルームの部屋は極めて少なく、3ベッドルームが殆どで、場所も駅近くで足の便のいいところは殆どなく、ここでも車社会を実感させられる。
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11 格安航空会社「エアアジア」その1 |
マレーシアにはエアアジアという格安航空会社があり、ここを起点にマレーシア国内はもとよりアジア各国に大変安く行ける。行き先も下図のようにアジアの主要な都市には飛んでいて、近年急速に就航都市を増やしている。 |
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エアアジアはマレーシアだけではなく、タイやインドネシアでは国内線も手掛け、ロングステイヤーの強力な味方になっている。
価格の一例を挙げその安さを実感していただきたい。(片道・税込 単位:円)
マレーシア国内線 KL〜コタキナバル(2時間半)2,100〜6,650
国際線 KL〜シェムリアップ(アンコールワット)4,200~6,650
KL〜バリ島 6,000~15,750(中心は9,800~11,200)
KL〜チェンマイ 4,900~16,100(中心は6,000~13,000)
KL〜ハノイ 5,250~11,900(中心は6,300~10,150)
タイ国内線(税別)バンコク〜チェンマイ 3,900
(参考) タイ国際航空は 7,100
いかに安いかご理解いただけたでしょう。その安さの秘密は次回で。
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12 格安航空会社「エアアジア」その2 |
エアアジアは超格安運賃で運航しているが、経営は立派な黒字経営である。では何故格安と黒字が両立するのか、その理由を探ってみよう。
1機体は全てボーイング737で統一し、パイロットの養成、部品、整備などを合理化(現在はボーイングからエアバスに切り替え)
2チケットはEチケットのみで、発券コスト削減。しかも座席は自由席
3機内サービスは一切なし、飲み物は全て有料
4従業員で遊んでいる人はゼロ。JALのようにあちこちで礼ばかりしている人は皆無
5マイレージプログラムなし
エアアジアの魅力は価格だけではない。
・何よりも機内が清潔で気持ちがいい
・従業員がいきいきと働いていて、モチベーションの高さを感じさせる
・ターミナルビルはKLでもコタキナバルでもメインのターミナルには入れてもらえず、やむを得ず全く別のところに新設している。そのため待合室も新しく、質素だが清潔に保たれている
因みにエアアジアのスローガンはNow
Everyone can flyである。
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13 4つ星ホテルのお粗末 |
コタキナバルでは4つ星のプロムナードホテルに泊った。細切れに3泊、2泊、3泊の合計8泊した。このホテルへの出入りが不便なことは「車優先社会」の項で報告したが、それ以外にも「これが4つ星か?」という事例がいくつもあったので、いくつか紹介しよう。但し総合的にはまずまずの満足度であったことも申し上げておきたい。
@ 細切れに3回投宿したので、3回チェックインした。毎回部屋にバスタオルはあるがハンドタオル、フェイスタオルがない。その都度ハウスキーパーに頼んで持ってきて貰わなければならない。極めつけは3回目のチェックインの時で、ハウスキーパーに言うと「在庫切れで明日まで待ってくれ」と言う。押し問答したが埒が明かないのでフロントに言うとすぐ持ってきてくれた。
A 最初のチェックイン時、ツインルームを頼んだがダブルしかないと言うので止む無く承知した。部屋に入ると不具合がいくつかあり部屋を替えてもらったら、それはツインルームであった。どうなってんの?
B 3回目はチェックインが遅かったのだが、やはりツインがないと言う。「ダメだ!」と言うと「1時間半待てば用意出来る」→「待てない」とやり取り。結局ツインを用意してくれたが、それはデラックスルームでラッキー!!
アジアでは何事によらず最初に断られてもとことん主張すると通ることが多い。
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14 果物の王様「ドリアン」 |
アジアでの楽しみの一つは果物である。果物好きの私にとって、年中様々な種類の完熟した果物が味わえるのは旅の醍醐味と言えよう。
その中でもドリアンは別格で、果物の王様と称されるだけのことはある。人によっては独特の匂いを毛嫌いするが、これが苦にならない人には正に王様である。
ドリアンの旬は夏で、冬に行くチェンマイでは味わう機会は皆無ではないが少ない。タイより南のマレーシアでは冬場でもドリアンは豊富にあり、今回思う存分楽しむことが出来た。
クアラルンプールでは1個1000〜2000円程度と高く、一度しか味わえなかった。しかしコタキナバルでは露店で1個600〜700円であり、3日連続で食べに行った。1個あれば3〜4人で鱈腹楽しめる。
ドリアンは辛党には要注意である。詳しい理屈は判らないがお酒を飲んでドリアンを食べると、アルコールと反応して大量のガスが発生し、お腹がパンパンに膨れて危険になるとのこと。従ってドリアンを食べるときは酒は飲めない。同行したメンバーの一人は辛党でアルコールを優先し、我々が美味しそうに食べる横で指を銜える羽目になった。お気の毒!
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15 馬鹿でかいショッピングモール |
クアラルンプール(KL)は150万都市である。にも拘らず大規模なショッピングモール(SM)がいくつもある。数もさることながら規模の大きさには度肝を抜かれる。わずか150万人の人口でこれだけの規模のものを支えきれるのだろうかと、他人事ながら心配になる。規模を示す具体的な数字は持ち合わせないが、日本の大型百貨店よりは大きいものが多い。
この現象はマレーシア第二の都市コタキナバルでも見られる。更にお隣の国ブルネイでも同様である。ブルネイの場合人口はわずか36万人で、KLほど大規模ではないが、それでも大きなSMを2つか3つ抱えている。そのSMに何回か行ったが、当然のことながら客はまばらでどうやって採算をとっているのか、今でも疑問のままである。
因みにチェンマイでも同様にスーパーは日本より遥かに規模は大きい。これは個人商店が淘汰され、大型店に集約されていることの証であろう。こうしてみるとアジアの各国では日本より早く個人商店が淘汰されたのか、はじめから存在しなかったのか、大型化のスピードは日本より速い。
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16 クアランプール(KL)のコンドミニアム |
KLではコンドミニアムに宿泊した。KLでは近年外国人ロングステイヤー増加に伴い、コンドの建設が盛んらしい。
部屋は2ベッドルームが一般的で、広さは100u以上のものが圧倒的に多い。150uを超えるものも少なくない。立地的には駅の近くではなく、駅から遠い物件が多いようだ。それだけ車社会ということなのであろう。
今回借りたのは数少ない地下鉄駅前の1ベッドルームで広さは50u程度、価格は2週間契約で4,800円/日であった。因みに1ヶ月契約なら4,000円/日、年間契約なら1,900円/日とのことで、契約期間が長くなればなる程安くなる仕組みである。
2ベッドルームならピンキリあるものの1ヶ月100,000円位で、住宅費は概ねチェンマイの2倍くらいとかなり高い。
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17 スポーツジム |
宿泊したコンドにジムがあり、海外滞在中とかく陥り勝ちな運動不足解消に大いに役立った。聞くところによるとクアラルンプールでは一定規模以上のコンドには大抵ジムがあり、宿泊者は無料で利用出来る。因みに有線のランも用意されていていつでもインターネットが利用できたのは実に有難かった。
コンドの前には立派な公園がありそこでも散歩は出来るが、運動すると暑いので冷房付きのジムは誠に有難い。しかも写真に見るように見晴らし抜群で、単調な歩行運動の気晴らしをしてくれる。
歩行器の速度は7Km/hに設定し、1時間歩く。普段でも朝の散歩は6〜6.5Km/hで70分歩くので、この運動量が確保出来れば体調はすこぶる良い。
因みに家内は5.5Km/hで50分(普段は5Km/hで50分)歩いて体調を整えている。
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18 運転マナー |
アジアでの運転マナーはお世辞にも良いとは言えない。マレーシアも例外ではない。それでも中国と比べれば数段大人しい運転と言えよう。一番困るのは「車優先」の思想が骨の髄まで浸透していることである。信号のないところでは歩行者が横断していても停まる車はほとんどいない。日本の積りで「車は停まってくれる」と信じて行動するのは相当危険である。
マレーシアで褒められるのは無駄なクラクションが少ないことである。私の藪睨み判断では、経済発展と無駄なクラクションは反比例しているように思う。
韓国・タイ・マレーシアはこの点では優等生で、フィリピン・スリランカは今一、最悪なのは中国。近年経済発展の著しい中国もこの点ではまだまだ落第生である。中国だけは「経済発展=無駄なクラクション減」という原則とは無縁なのかも知れない。
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19 ムスリムのスカーフに思う |
マレーシアはご存じの通りイスラム教国である。イスラム教徒(ムスリム)には結構厳しい戒律がある。最も知られているのは一日5回お祈りをすること。食生活では豚肉を食べない、アルコールは飲まない。衣装面では女性が人前で素肌を露出しない等であろう。ムスリムの女性はスカーフで顔を覆っているので、一目でそれと判別出来る。
イアスラム教国はアラブ諸国、マレーシア、インドネシアなど比較的暑い国が多い。そうした中でスカーフをしている女性を見るとこちらまで暑苦しく感じ、気の毒な気がするが彼女達が暑そうな顔をしているのは見たことはない。
一つには日本より湿度が低いので、見た目以上に涼しいのだろう。また、宗教上の戒律だから不快などと考えたこともないのであろう。日本人は彼女達のスカーフを気の毒とみているが、ムスリムから日本人を見るともっと気の毒に見えているに違いない。「蒸し暑い夏にネクタイで首を絞め、スーツを着て汗を拭っている、何と気の毒な人たちなのであろう。宗教上の戒律でもないのに」というセリフが聞こえてきそう。
「スーツを着るから暑い⇒冷房⇒寒いからスーツなしでは過ごせない」、こんなバカなことはそろそろ卒業して欲しいものだ。地球環境を守るためにも。
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20.ダヌンバレー(その1) |
マレーシアはマレー半島とボルネオ島からなる。ボルネオ島は世界で3番目に大きい島で熱帯雨林に覆われ希少動植物の宝庫として知られる。そのボルネオ島も森林伐採が進み、自然保護と研究・教育を目的に自然保護区に指定されているのがダヌンバレーである。
ダヌンバレーには研究者用の宿泊施設が造られ、その後観光客用の施設が整備された。この施設はサバ州政府が管轄し、レンジャーガイド、宿泊、食事、車の送迎など全てを含んだパッケージツアでしか利用出来ない。
観光客の数はホテルの収容人数で制限され、料金も最寄りの空港発着・2泊3日で46,000円〜53,000円と高めの設定になっている。
驚くのは政府の独占経営にも拘らず、従業員の訓練が行き届き、接客態度のキビキビした笑顔と飾らぬ親愛の情が実に清々しい。施設の清掃も細部まで行き届き、当初「高い!」と感じた料金が割安に感じるほどの満足感であった。日本の公立施設もぜひ見習ってほしいものだ。
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21 ダヌンバレー(その2) |
ダヌンバレーの魅力は「自然」を措いてはない。自然を保護する姿勢は徹底していて、高めに設定した観光料で自然保護費用を捻出する姿勢はコスタリカと全く軌を一にする。これらと比較し日本の場合は人集めに重点がゆき、自然保護が二の次になっている。基本姿勢をどこかで変換する時期と思うのだが・・・。
滞在中はレンジャーガイドがジャングルツア、ナイトサファリ、ナイトトレッキングなど、こちらの体力と希望を聞きながら案内してくれるので、退屈する暇はない。
数多くの動植物がガイドの解説付きで観察出来、熱帯雨林の醍醐味が楽しめる。地上27mのところに設置されたキャノピーウォークからの眺めは素晴らしく、特に野生のオランウータンやサイ鳥が観察出来たのは収穫であった。
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22 ダヌンバレー(その3)蛭について |
楽しいジャングルツアにも悩みはある、蛭対策である。蛭には2種類あり地上にいるブラウンリーチと草木の葉にいるタイガーリーチである。前者は噛まれても痛さはなく、後者は噛まれると痛い。
写真に見るように重装備で蛭防止を図る。首にはタオルを巻き、頭には当然帽子を被る。それでもどこからともなく食いついてくるので油断出来ない。徹底警戒のお陰で大した被害もなかったが、同行したA氏夫人が蛭の侵入に気がつかず、ホテルに帰ってシャワー中に気が付いた。その時には蛭はタップリと血を吸い、丸々と太っていたとのこと。
スタッフの茶目っ気で、蛭に血を吸われた人には「献血証明証」なるものが有料で発行される。彼らにとっては蛭も自然の一部で、ここでは無くてはならない脇役の一つなのであろう。と同時に彼らのユーモアが蛭の不快さを和らげてくれる。
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23 朝の散歩での空想 |
コタキナバル郊外のネクサスリゾートホテルに2泊した。このホテルは数Kmに亘ってプライベートビーチを持っていて、散歩には格好の場所である。
散歩していると無数の蟹が忙しく走り回っている。体長3cmくらいの小さな蟹だがその走りの速いこと!速いこと!目見当で10km/hくらいのスピードだろう。もし、身長170cmの人間がこのスピードで走ると仮定すると(170cm÷3cm)×10km/h=560km/hで走ることになる。蟹の足は10本、人間は4本でこれを勘案すると560km/h×10分の4=220km/hとなり、新幹線くらいのスピードとなる。
現実には人間の走りの限界は100m/10秒で36km/hということになる。人間がいかに頭デッカチで運動能力が退化した動物かが判る。現代科学の進歩で全てが便利になると人間の運動機能はますます退化し、もし数百年後に人間が生存していれば、空想科学小説に出てくる火星人のような姿になっているのであろう。その頃にはクローン人間が一般化し、生殖本能も失くしているに違いない。性欲のない人間なんて気味が悪い。
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24 地方空港 |
日本ではどんな小さな空港でも立派な施設を備えている。マレーシアではダヌンバレーの玄関口ラハ・ダトゥという小さな空港を利用した。先ず写真をご覧頂きたい。Simple is best
を地で行くような風景ではないか!
こうした空港はアジアの地方空港では一般的で決して例外的な風景ではない。一日に10便程度しか飛んでいないにも拘らず、立派な施設を擁する日本の地方空港こそ異常な光景なのである。
ついでに言えば地方空港ではペットボトルの機内持ち込みもOK。ただ単に黙認しているだけではないのかと思い、職員に確認してみたら躊躇うことなく「OK」と言う。この大らかさもアジアの魅力の一つである。あまり訪問経験もないが、南米やアフリカでもこうした大らかさは残っているに違いない。
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25 ブルネイについて |
皆さん、ブルネイってご存知ですか?世界で一番裕福な国ですよ。ボルネオ島の北部中央の海岸に面している小さな、小さな国です。人口35万人、その内首都(バンダル・スリ・ブガワン)に7万人、更にその内の3万人が水上集落に住んでいる。人口の7人に1人は軍人又は警察官である。
ブルネイが豊かな訳は勿論石油で、昨今の原油の高騰で豊かな懐がさらに豊かになっている。国民の住宅・教育・医療は全て無料で。給料も高いのか物価は日本並に高く、ショッピングの楽しみは何もない。因みにガソリンの価格は55円/Lとこれだけは安い。
国民の大半はマレー人で言葉もマレー語、食事もマレー料理でマレーシアやインドネシアの料理と殆んど変らない。宗教も殆どがイスラム教徒で毎日5回のお祈りはマレーシア以上に熱心にみえる。
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26 ブルネイ(豊かなスルタンの国) |
ブルネイはスルタン(王様)の国で、スルタンが首相・財務大臣・軍の統括を兼務している。また、それ以外の要職もスルタンの親族が占めている。現在のスルタンには2人の奥さんと12人の子供がいる。以上はガイドの話である。
国民の7人に1人は軍人か警察官ということは前回述べた。そのせいかどうか分からないがブルネイの治安は頗る良い。小生の藪睨み判断では国民の生活は豊かで、罪を犯してまで何かを得る必要がないということなのであろう。
王宮やモスクでは大量の金が使われ、それも18金ではなく22金が中心に使われているようだ。大理石も上質のものがふんだんに使われている。メイン道路の歩道には鉄平石が敷かれ、豊かさをこれでもか、これでもかと見せつけてくれる。
車の運転もマレーシアと比べると、同じマレー人でありながら格段に大人しい。歩行者が横断していると必ず停まる、マレーシアや中国ではありえない現象である。これも豊かさ故の行動で、衣食足りて礼節を知るということか。
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27 ブルネイ(水上生活者) |
ブルネイの首都はバンダル・スリ・ブガワンという人口7万の街である。そのうち3万人が水上生活を送っている。政府も何とか水上生活者を陸上に移そうとして住宅まで用意しても、なかなか政府の思惑通りには行っていないらしい。現在では新築は禁じられているようで、ここで生活している人たちは先祖代々の住宅を引き継いで生活している人が圧倒的に多いと聞く。
水上生活は13世紀ころからのもので、800年近くも続いた伝統を変えるのはそんなに容易いものではない。
水上集落の足は船しかなく、無数の水上タクシーが猛スピードで走り回っている。よく事故が起きないものだと感心する。水上生活者も車の所有者は多い。彼らは対岸に駐車して、駐車場と住宅の間は水上タクシーを利用する。
水上生活者の住宅も見せてもらったが、陸上の生活となんら変わることなく、「陸上に移れ」と言われても「なんで?」ということになるのは何となく頷ける。
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28 ブルネイ(省エネ意識) |
ブルネイは豊かな国で、その源泉は石油であることはすでに申し上げた。その勢かどうか省エネ意識は全く希薄のようだ。短い滞在で気付いた事例をいくつか挙げてみたい。
@ 首都の街はきれいで、夜ともなると街中がネオンで彩られる。まるで遊園地気分だ。夜通し灯っているのかどうか確認出来なかったが、結構遅くまで明るかったのは事実である。
A 冷房はどこも強過ぎて寒いくらいで、冷房温度を高めに設定することなど見向きもしない感じだ。
B 街のど真ん中にロイヤルホールという壁のない大きな建物がある。誰もいない大きなホールでは冷房が唸りを上げて稼働している。雰囲気からして当日何か大きな行事がある風でもない。いくら冷やしても外気の熱が吹き込むし、そもそも日陰なら涼しいという前提で、壁なしの設計になっている。どうも考えたことと、することがチグハグである。
C 車のアイドリングについても意識は薄い感じだ。少々の停車ならエンジンは掛けっ放しが常識のように見受けた。
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マレーシア通信は今回で終わらせていただき、次回からは中国通信をお届けします。
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