ヨーロッパ節約旅行

松木 勉 ・ 和子

プロローグ
 心臓の手術を受けた後、時間の余裕ができ家内と二人で前から考えていたヨーロッパ旅行に行くことにしたが約2ヶ月で7ヶ国、宿泊した町だけで27ヶ所という旅程となった。 
 長期滞在を目指すロングステイクラブの趣旨とは違う慌しい旅をすることにしたのは、これまであまり鉄道やバスを使った個人旅行をしたことがなかったので体力のある間にそういう旅をしてできるだけ多くの土地を訪れ、その中で将来また行きたくなるような場所でも見つかればという程度の気持ちからだった。 とは言うものの予算的にも大きな制限があり、安ホテルやB&B、YH(ユースホステル)などを利用したバックパッカーに近いような旅だった。中には床が傾いていて靴の紐を締めようと屈んだら「おっとっとっ!」と前のめりになりそうなホテルに泊まったりの珍道中だったので、思い出し笑いや時には苦笑いをしながら実務面を主体に書いています。

A.旅の概要
1. 期間
2006年5月9日 〜 7月13日 (67日間)

2. 行程
大阪→アムステルダム→ミュンヘン→ヴュルツブルク→ローテンブルク→シュバンガウ→アウクスブルク→ムルナウ→ザルツブルク→ハルシュタット→ウィーン→プラハ→チェスキークルムロフ→アムステルダム→ロンドン→オックスフォード→ストラットフォードアポンエーボン→チェスター→バース→ロンドン→アムステルダム→ルクセンブルク→ナミュール→ブリュッセル→ブルージュ→ゲント→ブリュッセル→アムステルダム→大阪 (地名は宿泊した町のみ)
注 : イギリスのみ途中から加わった友人3人を含めて5人でレンタカーを借りて旅行した。

3. 予算

 日本で購入した往復の航空券と鉄道パスを除いた現地での宿泊費、交通費、食費、雑費を含めて1日二人で\15,000を目標としたがこれはかなり厳しいレベルであった。

4. 情報収集
 旅行案内書(観光地と安いホテルを探すのに使った)、在日各国政府観光局に依頼した各種資料(地図、ホテルリストなど)、インターネットでの検索。各国政府観光局はどこも親切に対応してくれた。

5. 航空便
 関西空港⇔アムステルダム往復のオランダ航空の90日FIX
アムステルダムまでなら大韓航空の方が安かったがイギリスへも行く予定だったので、ヨーロッパ内の2フライトが付いたヨーロッパ系航空会社のオランダ航空にした。

6. 鉄道パス
 ドイツ、オーストリア、ベネルクス(オランダ・ベルギー・ルクセンブルクは1カ国の扱い)の3国で利用することにしてユーレイルセレクトセーバーパス(加盟国の中から隣接する3−5ヶ国を選択し、2人以上のグループで同一行動をする条件)の6日間フレキシータイプ(有効期間2ヶ月でその内の任意の6日利用できる)を購入。
フレキシータイプには5日、6日、8日、10日 (5ヶ国の場合は15日もある)の利用日数を選べるが当然日数が多くなるほど料金は高くなるので、何日通用のパスにするかは、極めてアバウトな方法だが次のようにして考えた。 5日通用と6日通用のパスの料金の差が約4,100円。 若しドイツで1等の切符を買えば料金は25円/km位かと想定して4,100円÷25円=164kmとなり鉄道で1日160〜170km以上の距離を移動するならパスの方が有利、これ以下の距離なら現地で切符を買う方が安くなるので、旅程から1日で移動する距離を計算して通用日数6日のパスとした。(鉄道パスも組合せによって料金も変ってくるので飽くまでも目安です) ただし、鉄道パスには切符を買うため混雑する窓口で長時間待たされたり、慣れない外国語でやり取りするというような煩わしさから開放されるといった料金だけでは計れない大きなメリットもある。

7. バス

 都市間の長距離の移動で利用したのはロマンチック街道のヨーロッパバス(毎年4月〜12月までの間、フランクフルトとミュンヘンの両方から1日1便づつ運行される)のヴュルツブルク→ローテンブルク、ローテンブルク→シュバンガウ、シュバンガウ→アウグスブルクの3回だったが非常に快適で、我々が利用した5月下旬は50人乗り位の大型バスに乗客は多い時で10数人、シュバンガウ(ノイシュバンシュタイン城の近くの村)から乗った時は先客は日本人のお嬢さんが1人だけで我々を入れて3人の貸切状態で、料金は鉄道パスを持っておれば60%引きとなり、更に途中の小さな教会やお城に立寄って見学の時間を取ってくれたり、案内(有料の場合もあったが1人2ユーロ程だった)してくれたりする。 但し、このバスも7−8月の観光シーズンには満員となるのでその頃に利用する場合は予約をしておくことが望ましいとのこと。
切符は日本でもドイツでも買えるが、バスに乗車する時に行き先を告げて運転手から買うこともできる(割引適用のため鉄道パスを持っておれば必ず見せること)

8. 宿泊
 費用の中で宿泊費の比率が一番大きいので限られた予算の中では精々2ッ星程度か、B&B、YHの利用とせざるを得ず、当然トイレ、シャワーのどちらかまたは両方が共同というケースが殆どであった。
  宿泊の予約はイギリスとベルギーの一部を除き全て日本で出発前に手配した。理由は殆どが初めて訪れる都市(町、村)であり、到着後重い荷物を持って宿探しをするのは大変だろうと考えたためで、各旅行案内書や観光局の資料などで安いホテルで極力到着駅に近い所を選んでファックスやメールで予約した(ファックス・メールの確認コピーを持参したが予約に関するトラブルは全くなかった) ただ宿泊地が確定したことでスケジュールの柔軟性は無くなったことは止むを得ない。
  ホテルも地図で見ると駅の近くで簡単に見つかりそうに書いてあるが、実際に行くと道が入り組んでいて判り難く、通行人にホテルの在る通りの名前を言っても日本式の発音では通じなくて探すのに結構苦労したこともあった。
  支払いはYHはクレジットカードOKだが、安いホテルは殆ど現金払いを要求された。
   

9. 宿泊費

 1泊50−60ユーロ/室を目標としたが実績としてはホテル、B&Bがツインルームで44−86ユーロ/室/泊(朝食付き)、YHは同じくツインルームで42−44ユーロ/室/泊(朝食付き)だった。 YHはチェコ、ベルギー、ルクセンブルクで4ヶ所のYHに泊まったがルクセンブルクの6人部屋以外はツインルームを予約した。 昔と違ってツインルームのあるYHが増えてはいるがどこともツインの部屋数は少ない。 因みにムルナウのあるドイツ・バイエルン州のYHは26歳以上の利用はできない。
「サービスは料金に比例する」ということが実感された旅で、ヨーロッパの安いホテルはトイレ・シャワー共同ということに加え、エレベーターも無く、重い荷物を担いで狭い階段を3階や4階まで上ったり、旅の後半は暑い天候となったが冷房設備が無いので(全般に暖房は考えているが冷房についてはあまり配慮されていない)寝苦しい夜を過した。 金力が無い場合は体力を使うしかないということ。

10. 食事
 ドイツでは丁度シーズンだったホワイトアスパラガスの料理、チェコでは大皿からはみ出すようなスペアリブやすね肉などを(当然ワインとビールも)堪能した。 どこの国でもワインやビールが極めて安いことは酒飲みの私にとっては誠に有難いことでいろいろなワインやビールを楽しんだ。 とは言え厳しい予算の中ではそうそう外食もできず、また外食ではどうしても野菜の摂取が不足するので時々は「スーパー食」と称してスーパーマーケットで食品(パン、ハム、チーズ、野菜サラダなどに当然ワインとビール)を買ってきてホテルで食べたりしたが費用的には外食費の60−70%くらい掛かり思うほど安くはならなかった(酒類の購入が多いからとの説もある)

11. 買い物
 スーパーでは日本のようなレジ袋が無い所が多く(特にドイツ)、スーパーで買い物をした時は日本から持っていったスーパーの袋や手提げのバック、リュックサックが大いに役に立った。

12.お金

 万一に備え小額の現金は持っていったが主に国際キャッシュカードとクレジットカードを使用した。 国際キャッシュカードは日本円の預金を海外のATMから
  現地通貨で引き出せるもので、1回200円くらいの手数料で利用でき、引き出し可能なATM(我々の場合はCIRRUSマーク)は今回訪問した全ての都市(町、村)でも設置されていた。 ただ24時間可能とは言え安全のため引き出す時間と場所には注意した。 問題としては操作案内が外国語(英語、仏語、独語、スペイン語のどれか)になることと、ATMによって引き出せる限度額が違う(大体400−500ユーロ/回。但し空港などでは1回で1,500ユーロでも引き出せた)ことくらいだがすぐに慣れた。

13.国別費用明細 (1日当り、二人分)

  

円金額/日

交通費(%)

宿泊費(%)

食費(%)

その他(%)

オランダ

19,200

5

69

23

3

ドイツ

17,000

16

46

30

8

オーストリア

16,600

9

44

26

21

チェコ

11,400

15

33

30

22

イギリス

25,300

25

48

16

11

ルクセンブルク

15,200

28

35

37

0

ベルギー

16,600

10

48

38

4

 条件がそれぞれ異なるのであまり参考にならないが印象としてオランダは内容の割には宿泊費、食費ともに高かった。 逆にチェコはまだ物価も安く食事も美味しかった。 全般に日本の物価の上昇が抑えられている間にヨーロッパ(だけではないが)の物価は上昇しており、特にイギリスの物価が高くなっていることには驚いた。現地の物価上昇に加えユーロ高が更に進行しているので今後も円換算の費用は一層高くなるだろう。
 (円金額は06年5月/6月頃のレートで計算。 以下同じ)

B.鉄道の利用について
 本格的な列車の利用は初めてでいろいろ心配や実際に混乱もあったが何とか大きなトラブルも無く利用できたのでその体験も交えてまとめてみました。
1. ヴァリデーション
 鉄道パスを使用可能な状態にすることで、旅行案内書などでは結構難しいように書いてあるが実際は簡単な手続きで、到着したオランダのスキポール空港駅の駅窓口(インフォメーションでもいい)でパスと二人のパスポートを渡して希望する利用開始日を言ったら後は窓口の人が必要事項(パスポート番号、利用開始日および終了日。これらは自分で記入してはいけないことになっている)を記入してスタンプを押してくれて手続き完了。 言葉が心配だったので事前に希望開始日をメモ書きしておいて渡した。 それでも不安があるようなら鉄道パスを買った日本の旅行社でヴァリデーションをしてもらえるが当然手続きの費用は取られる。

2. 駅のホーム
 大きな都市の駅では大抵プラットホームが長く1本のホームがAとBの2つに分けられていることがある。 例えば3Aとか3Bとなっていて(3番のAホーム、Bホームの意味)これは全く別のホームの扱いとなっていてアムステルダムのホームで待っていた時、発車時刻が迫っているのに回りに乗客が居ないので心配になり偶々通りかかった駅員に尋ねた処「お前の乗る列車はこのホームの向こう端だ」と言われて大慌てで重い荷物をがらがら引っ張って辛うじて間に合ったこともあった。

3. 乗車する車両の待ち方
 鉄道パス利用の場合1等車に乗ることが多いが、日本のように「8号車乗車口」などの親切な表示は無い。自分の乗る車両がホームのどの辺に停まるのかを見つけるにはホームの1−2ヶ所にある「黄色の発車時刻表」下部に列車編成表が載っており車両番号とその横にアルファベットのA、B、C,・・・が書かれていてそのアルファベットはホームの頭上3mくらいの所に表示されているA、B、C・・・に一致するのでそのアルファベットの辺りで待っておれば自分の乗る車両が停まるという仕組みになっている。 ただドイツでは大きな駅ではアルファベット表示と列車編成表は割合きっちりと設置されていたが、オランダやベルギーの駅では殆ど見かけず、適当な場所で待っていて停まった列車の一番近い乗車口から乗り込んで1等車まで車内を歩いた。 またどこの駅でもホームと列車の床まで70−80cmほどの段差があり大きな荷物を持っての乗り降りは大変だったが、発車のベルに急き立てられることも無く(発車ベルは無い)皆整然と順序よく乗降するし親切に荷物の上げ下ろしを手伝ってくれたりした。

4. 時刻表の見方
 駅構内やホームにある黄色の発車時刻表(白色は到着用)は日本のように行先別ではなく各時間の発車順にそのホームから発車する全ての列車が書かれていて慣れるまでかなり見にくい。 始発駅から終着駅まで乗る場合はよいが、始発駅から乗って途中駅で降りるとか、途中駅から乗って途中駅で降りる場合は何らかの方法で始発駅と(特に)終着駅を調べておいてその駅名で探すと乗る列車を探しやすい。

5. 座席の予約
 一番簡単なのは日本で旅行会社にやってもらうことだが当然手数料が掛かるので(現地で予約する場合の5倍位)できるだけ現地で予約をした。現地で予約する場合、例えばドイツ→オランダ間の国際列車ならドイツの「どの駅の窓口でもよい」ので必要事項(日付、列車番号、乗車区間、人数、等級)をメモ書きにでもして渡せば手数料1人分3ユーロで予約してくれる。 大きな駅の窓口ほど混んでいるので、偶々通りかかった田舎の駅の窓口で予約してもらったこともあった。

6. 予約座席の見つけ方
 以前は予約された座席には名前と予約区間を書いたカードが挟んであったらしいが、今の新型車両では座席上部の壁面に小さな電光掲示で予約区間が表示されている(名前は表示されない)ので自分の持っている予約表の座席番号と予約区間が電光掲示と一致しておればそこが自分の席。 電光掲示が表示されていない席は空席ということなので自由に座って構わない。個室の場合はドアの横に表示がある。 因みにオランダ⇔ベルギーの区間は1等車でも座席の予約はできない(してくれない)ので、空いている席に座ればよい。このことを知らずに予約を取ろうとアムステルダムの駅で1時間以上順番を待ったが窓口で「予約はできない」とものの10秒で終わってしまった。 順番は番号札を取って表示された窓口に行くシステム。

7. 乗車日の記入
 必ず乗車の前に鉄道パスの所定の欄に日付を記入する。日付の書き方は日/月/年の順にするので2006年5月21日は21/05/06とする。 書き順を違えると全く別の日になる。乗車後必ず車掌が検札に来るので鉄道パスとパスポート(これは殆ど見ない)を渡すと日付の上に検印を押して返してくれる。 同日中なら別の列車に何回乗り換えてもOKで、乗り継いだ列車で車掌が検札に来たら検札済みのパスを見せるだけでよい。 夜行列車に乗る時は、19時以降に出発し翌日に目的地に着く場合は翌日1日のみのカウントになるので、日付も翌日の日付を記入すればよい。

8. 寝台列車
 寝台列車にも乗ってみたいなあということでウィーンからチェコのプラハまで個室寝台で行ったが全くの期待はずれだった。 昼間なら4時間強で行ける距離を6時間半ほどかけて走るのだから時間調整のためにやたら停車し、動き出す時は連結器が大きな音を立てるので寝れなかった。 余程の長距離の移動か寝台列車に興味のある人以外は料金も高いし(2人分で5ッ星クラスのホテルに泊まれるくらいの額)寝台車ではなく昼間景色を見ながら乗ったほうが良かったと思った。 なおその列車はポーランドのワルシャワ行きも含めた混成列車で駅の表示板は一番遠い目的地の「ワルシャワ行き」で出ていたが、そういう行先表示になっているとは知らずに「発車時間もホーム番号も合っているのに我々の目的地の『プラハ行き』の列車が無い!」と探し回ったがちゃんと一両連結されていた。 オーストリアからの出国手続きは発車前に係官が来てパスポートに可愛い列車のスタンプを押してくれて終了。 チェコからの出国時も寝台車だったが、この時は乗車後車掌がパスポートと鉄道パスを持っていって翌朝返してくれた。(下車するまでに返ってくるかちょっと不安だったが)

9. 鉄道パスとパスに含まれない国との連続乗車
 我々の鉄道パスはドイツ・オーストリア・ベネルクス3ヶ国で有効だがチェコは含まれていない。チェコに行く時はウィーン南駅からプラハ中央駅まで、帰りはプラハ中央駅からドイツのフランクフルトまで戻ったが両方ともチェコ国内の乗車券が無い状態だったので、行きはウィーン南駅の窓口で鉄道パスを見せて「チェコの国境駅からプラハ中央駅まで」、帰りも同様にプラハの駅窓口で「プラハ中央駅からドイツとの国境駅まで」と言ってチェコ国内分の乗車券を購入した。 チェコではあまり英語が通じないので紙に図を描いて渡して身振り手振りで説明したが、係員もこのようなケースに慣れているようで問題無く発券してくれた。 因みに行きの料金は忘れたが、帰りのプラハから国境まで約225kmの2等運賃は1人分138コルナ(約760円)だった。
「プラハ中央駅」とか「ウィーン南駅」とかわざわざ書いたようにプラハにもウィーンにもまたその他の都市の多くでそれぞれ複数の駅があるので注意して下さい。

10.列車内での運賃・料金精算
 日本の旅行社に聞くとヨーロッパでは列車内での運賃精算はできないと言われたが、出来なくは無いようでプラハからフランクフルト行きの車内でドイツの鉄道パスを持っているがチェコの国内分の乗車券を持っていなかった韓国の学生が車内精算で乗っていた。 但し見ていたら運賃として1人25ユーロ(当時のレートで約3,900円位で、私の払った額の約5倍)を払っていた。 多分車内精算の場合はペナルティ的な料金になっていたものと思われる。 いずれにしても車内精算はできないものと考えて乗車券類は事前に購入しておくのが無難でしょう。

11.市内の交通
 大きな都市では地下鉄、トラム(市電)、バスなどが乗り放題となる
1日券(乗車開始から24時間有効)とか中には3日券(同じく72時間有効)などがある。
1日券で大体5−6回乗れば元は取れるような価格設定になっているようだが、1回づつ切符を買わなくてもよいことだけでもメリットがある。各国とも切符の自動販売機が増えているが現地語の表記だから使い方が全く判らないし、後ろに人が並んだりされると余計おたおたするが、キャンセルしようにもその方法も判らず大変だった。
  特にチェコではトラム、バスの切符は停留所の自動販売機か近くのキオスク(雑貨屋みたいなもの)で買うことになっているが、自販機の無い停留所が多くキオスクも夕方には閉まっていることもあってトラムに乗りたいのに切符が買えないということになるので1日券(地下鉄にも乗れる)を買っておいた方がよい。(1回券18コルナ、1日券80コルナ)  但し、1日券は小さなキオスクでは売っていないことがあるので市内の大きなキオスクか切符売場で買っておくこと。 切符売場には自動販売機もあるが買い方が判りにくく、大抵有人窓口があるのでそこで買うことにしていた。
  どこの都市でも切符は必ず乗車前に改札(日付と時刻の刻印)をしておく必要があり、地下鉄ではホームに下りる手前(ホームや車内には刻印機はない)、バス、トラムでは車内に刻印機(赤や黄色に塗った小さな箱状のものがポールにくっついている)があり、そこに差し込むと日付と時間が打刻される。

12.その他の割引乗車券
 今回の旅で重宝したのがドイツ・ミュンヘンのあるバイエルン州で使えるバイエルンカードで、27ユーロで大人5人まで(買う場所によっては料金は同じで6人までOKというのがあった。子供は2人で大人1人と計算する)鉄道、地下鉄、トラム、バスに乗り放題になっている。 平日の朝は9時以降でないと使えないとか、鉄道は急行列車には乗れないとかの制約があるが、急がない旅であればこのカードで十分。 このカードでオーストリアのザルツブルクまで行ける。(スイスのインスブルックかどこかまでも行ける筈?) 我々二人はムルナウからミュンヘン経由でザルツブルクまで228kmを普通列車で行ったが、乗り継ぎ時間を入れても4時間弱で到着した。 料金は1人2,000円程の計算(若し5人で使えば1人800円強となる)

13.トラブル
 特に身体や荷物に対する危険を感じたことは無く無事に帰れたことが何よりだったが、一つだけチェコのプラハからチェスキークルムロフという観光地に行った帰りのバスが後20−30分でプラハに着くかなと思った時、バスが急に見覚えのないバスターミナルに入って乗客全員が降ろされた。運転手に文句を言ったが「メトロ(で行け)!」と言ってあっという間に走り去った。「それだけ走れるのだからフローレンツ(バスターミナル)まで行けよ」と思ったが兎に角エンジントラブルなどではない筈で何故そこで打切りになったのか理由は判らないが、仕方なくメトロの駅を探し当てて市内に帰ってきた次第。その日の夜行でドイツに出る予定をしており、大きな荷物を預けたホテルにも行かなければならなかったのでどこに降ろされたのか判るまではちょっと焦った。 帰国後旅行案内書を読んでいたら同様の体験談が出ていたのでたまにはそういういい加減なことがあるみたい。

14.鉄道旅行で大切なこと
 今回感じたのは「時間的余裕を持つこと」だった。 ドイツでもベルギーでも列車が遅れて乗継ぎ列車にあわや乗遅れそうになりはらはらドキドキの経験もした。車内放送で何か言っているようだったが内容は全く判らず精神衛生上も余裕のあるスケジュールが望ましい。

エピローグ
 終りに、今回の旅は6月のドイツでのサッカーW杯の混雑を避けるため5月中にドイツを抜けるという予定を立てた。幸い天候に恵まれてと言いたいところだが、前半で2週間ほど毎日雨(山沿いでは雪だった)、後半は逆に炎天続きとなり雨を恨んだり恋しがったりした旅だった。 お陰で予定していた観光地で割愛した所もあったが、何時かまたおいでということなんだろうと思って帰ってきたが本当に体力のある間(二人とも57歳でした)にしか行けなかっただろうなと思っている。 細かく移動する旅は予想以上に費用が掛かったので暫くは大人しくして、また見残した場所や違う国に行ってみたいと思っています。
 なお、いろいろ書いてはおりますが内容的にはドイツ・オーストリア・ベネルクスだけでの素人の個人体験でまた言葉の点からも勘違いや思い込みで書いている部分もあると思うので、内容的に100%正確とは言えないことはご了承願います。        

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