中国 九寨溝・黄龍通信

2016年6月
神原克収

目次


1.いきなりの遅延の洗礼 2.パンダあれこれ


1.いきなりの遅延の洗礼
 
            椅子に座れない人は立ったり床に座り込んだりして待っている

 久しぶりにパックツアで出掛けた。行き先は中国の九寨溝と黄龍である。以前から一度は行ってみたいとチャンスを窺っていた。パックツアは忙しいと覚悟はしていたが、予想通り大変忙しい旅であった。でも九寨溝とか黄龍に行くにはパックツアに限ると感じた。物凄い人出で、個人で行ったらとても満足に観光して廻ることは不可能であったに違いないと感じた。
 行きは上海経由成都まで飛行機である。上海までは僅かな遅れで着いたのだが、そこから成都までが4時間半遅れ、成都のホテルに着いたのは朝の4時であった。航空機の遅延は珍しいことではないが、遅延に対する航空会社の対応には「さすが、中国」と感じさせられた。
 空港内に表示される出発表示板には予定時刻を1時間過ぎても何の表示も出ない。1時間半経過した時点で「遅延」の表示が出た。しかし、遅延理由や出発予定時間は一切表示されないし、係員に訊いても「判らない」の一点張り。当然のこと(?)ながら、お詫びの放送も一切なし。
 出発時間を2時間くらい過ぎた頃、周辺の乗客があちこちで弁当を食べだした。当初はどこかの団体の添乗員が手当てした弁当だと思っていた。しかし誰かが「弁当を配っているらしい」と言うので係員のところに行き、「弁当をくれ」と言ったら、カウンターの上に無造作に5~6個の弁当を置いた。放送で弁当を配るとは一切言わず、要求しなければ出さない、というのも中国らしい、と変に感心した。
 近年国内線の遅延は常態化しているらしく、これだけの遅延が出ても特に苦情らしきものは誰も言わず、そういった面では中国の「成熟」を垣間見た気がした。

殆どの便が「遅れ」「キャンセル」「搭乗口変更」の表示が出ている 待合所は満杯

2.パンダあれこれ
 
                       パンダの放し飼い

 成都は四川省の首都でパンダで有名である。成都パンダ繁育センターにパンダを見に行った。平日の雨の日にも拘わらず凄い人である。見るものと言えば飼育中のパンダの放し飼いを2ヵ所で見て、その後飼育されている状況を見るくらいのもの。パンダの赤ちゃんの扱いを見ていると人間以上に手厚い保護を受けていて、これでは野生に戻すことは不可能ではないかと素人なりに思った。
 ここで聞いた話では現在中国には1,900頭のパンダがいて、80%は四川省に生息しているとのこと。パンダは繁殖力が極めて弱く、人間が保護し、人工授精で繁殖の手助けをしないと絶滅するらしい。
 パンダを見ながら釈然としない気分になった。理由は日本がパンダに支払っているレンタル料である。日本が中国に支払っているレンタル料は一頭1億円程度らしい(東京は2頭で8、000万円と言う記事もある)。レンタル料を調べてみると色々な数字が出てくるので、本当のことは定かではないが、当らずといえども遠からずであると信じている。
 腹立たしいのは日本で繁殖したパンダについても所有権は中国が握っていて、ある資料によるとレンタル料は親パンダは100万ドル/年で生まれたパンダは60万ドルとのこと。更に日本で飼育しているパンダが老衰以外で死んだ場合は賠償金を支払う契約になっているようだ。
 あれこれ考えながらパンダを見ていたが、決して愉快な気分にはなれなかった。

 
          保育器の中の赤ちゃん             飼育員に抱かれているのは赤ちゃん

 
            パンダ繁育センターにて            雨の中平日にも拘わらず長蛇の列

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