ポルトガルはどこへ行っても街がきれいである。清潔感は勿論だが街全体が美しい。
街の美しさはニューヨークやシンガポールのように近代的な美しさとヨーロッパのような歴史遺産に彩られた中世的な美しさがある。
ヨーロッパでは概ね旧市街と新市街に分かれ、近代的と中世的な両方の美しさを持っている国が多いと思う。
ポルトガルはどこへ行っても街全体が旧市街的な美しさを保っている。この美しさの根源は何かと不思議に思う。
ポルトガルはエンリケ航海王などの支援のもとマルコポーロやバスコダガ・マゼランなどの野心家の活躍で世界で最初に航路を開拓し、世界の海を制した。
それにより莫大な富を得て街造りが進み、その遺産が現在にまで生きている。
もう一つは街全体が赤い屋根で覆われ一体感を醸し出している。
これは他のヨーロッパ諸国に共通で、アジアでは見られない美しさである。
日本の街は清潔感では最上位にランクされると思うが、街の一体感という点ではどうにもならない。個人の自由が必要以上に強調され、その結果雑然とした街しか出来ず中世的な美しさは極く一部の街に点でしか存在しない。
欧州は石の文化、日本は木の文化でその差を強調する人も多いが、それよりも街造りの基
本設計がない、あっても「個人の自由」に振り回されて今日の「惨状」を招いていると思う。
基本設計とそれに基ずく規制、これがいま日本に最も求められている点ではないだろう
か? |
リスボン |
オビドス |
モンサラーシュ
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カストロ・デ・ヴィデ
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カストロ・デ・ブランコ |
ポルト |
ポルト |
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首都リスボン、第二の街ポルト、第三の街コインブラ、どの街も実に坂が多い。坂の多い街はサンフランシスコや神戸など沢山あるが、主要3都市全てが坂の街というのも珍しい。
それも半端な坂ではなく観光客にとっては美しい風景の原動力となっていて、実に楽しい。
しかし老人にとっては極めて厳しい環境に見える。65歳以上の高齢化率を調べてみるとポルトガルは世界で6番目で17.9%*(一位は日本の22.7%)と高齢化が進んでいる。
街中でも多くの老人は見掛けるが車椅子の人は殆ど見掛けない。
これだけ坂が多いととても車椅子で移動という訳にはいかないだろう。
しかも街の中は殆どが石畳で景観上は美しいが車椅子での移動は困難を伴う。
これだけ移動が厳しいと痴呆老人が増えるのではないかと他人事ながら心配になる。
ポルトガル政府がその対策として如何なる手立てを用意しているのか聞きたいものではある。
*2010年のデータ |
リスボン |
リスボン |
リスボン |
コインブラ |
コインブラ |
ポルト |
ポルトガルはギリシャ、アイルランド、スペイン、イタリアなどと共にEUのお荷物となっているのはご存じの通り。
一介の旅行者がわずかな期間にそれを実感出来るとは思わない。
しかし、本日で僅か2週間だが注意して観ているとそこかしこに不況の影が見えてくる。
午前中から広場で所在なさ気に屯している中高年層、中には昼前からビールを飲んでいる人もいる。
市場はどこへ行っても人が少なく、品数は少なく鮮度も落ち、活気がない。
何よりも目を引くのが空家の多さだ。
首都リスボン、3番目の都市コインブラ、第二の都市ポルトと主要3都市を見たが、どこも同じ。
特にポルトでは目抜き通りのビルが廃墟同然になっていて、不況の深刻さが感じ取れる。
それでも人々の顔に暗さが見えないのは、ラテン系の陽気な気質に負うところ大であろう。
それと過去の植民地支配から得た膨大な富で築いた豪華な歴史遺産が引き寄せる観光客の落とす金のせいに違いない。 |
リスボン(落書きの店が空家) |
リスボンの市場(リベイラ市場)でも |
ポルトの超繁華街でもこの惨状 |
ポルトの超繁華街でもこの惨状 |
有名なポルトワイン工場も |
ヴィアナ・ド・カステロのカテドラルの真前の店舗も空家 |
ポルトガル史上特筆すべき人物はエンリケ航海王子とポンバル侯爵であろう。
エンリケ航海王子はポルトガル初代国王ジョアン1世の子供で1394年生である。
生涯を通じて探検事業家として航海者達を援助すると共に、彼らを叱咤激励して15回に亘って探検船を出し、それまで未知の領域であったアフリカ西海岸を踏破せしめた。
彼は大航海時代の幕を開くと同時にポルトガルの海上制覇と繁栄の礎を築いた。
リスボンに「発見のモニュメント」がある。
エンリケの500回忌を記念して造られたもので、エンリケを先頭にインド航路開拓者バスコ・ダ・ガマ、ブラジル発見者ペドロ・アルヴァレス・カブラル、最初に世界一周を達成のマゼランなどが雄姿を見せている。
当時船の性能も悪く、情報もない時代に海外雄飛を志した発想のユニークさ、スケールの大きさ、そしてあらゆる非難・困難にも挫けることなく文字通り命を懸けて構想を実行し続けた信念等々、モニュメントを見ながら感慨一入である。
これだけの政治家がいてはじめて国は繁栄するのであろう。
選挙民の票に右顧左眄する政治家しか生み出せない国が繁栄する訳がない。
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発見のモニュメント、先頭がエンリケ航海王子 |
発見のモニュメント前の広場に描かれた世界地図、発見の年が記されている。因みに日本には1541年と記されている。 |
発見のモニュメント近くに立つベレンの塔、帰還した航海者をこの塔で皇帝始め皇族が出迎え、
謁見した。命懸けの航海を終えて帰還した航海者たちの天にも昇る気持ちが伝わってくるようだ。 |
海洋博物館の玄関にも世界地図を背にしたエンリケ航海王子の像が据えられている
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ポンバル侯爵は18世紀に活躍した政治家で、主な功績としては産業革命が進むイギリスにならって工業化を推進すると共に財政改革を強力に推し進め、植民地での奴隷制を廃止するなどの功績があった。
彼の功績を不動のものにしたのは1755年に発生した大地震・大津波で壊滅的打撃を受けたリスボンを見事に再建したことであろう。
膨大な遺体を当時絶大な権力を持っていた聖職者の反対を押し切って沖合に運んで水葬し、結果として疫病の発生を事前に防いだ。
また、瓦礫撤去に市民を動員し、街を短期間のうちに碁盤目に整備し、今日の美しい街リスボンの礎を築いた。
その後は国王ジョゼ一世の信頼をバックに専制をほしいままにし、既得権益を振り回すイエズス会の力を削ぐなどの功績もあったが、弾圧恐怖政治の弊害も顕著で、ジョゼ一世死去後は解任され、地方に埋もれて生涯を閉じている。
後半の専制は別としても、国王の信頼があったとは言え強大な既得権益者・圧力団体の反対を押し切って、長期的視点で国造りに邁進し、当時のポルトガル繁栄の基礎を築いた功績は消えることはなく、今日でもポルトガル国民の賞賛を得ている。
既得権益を持つ圧力団体に媚びて一向に改革が進まない日本の政治、東日本大震災後2年有余を経てなお蛇行運転を続ける再建。ポンバル侯爵との落差の大きさに寂しさを禁じ得ない。 |
リスボンの綺麗な街並み |
エドゥアルド7世公園からポンバル広場の侯爵像を見る |
ポンバル広場に立つ巨大な侯爵の像 |
ライオンを従えるポンバル侯爵 |
塔の下部は1755年の大震災からの復興をモチーフにした彫刻で飾られている |
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台湾で日本のコンビニが至る所にあり驚いたが、ポルトガルではコンビニそのものが存在しないらしい。
スーパーもあまり多くなく、主流は昔ながらのパパママストアである。
ここでは当然のことながら品揃えは少なく、鮮度も悪い。僅かな野菜や果物、ビール・ジュース等の飲み物類に食品といえば缶詰、瓶詰、ハム、ソーセージといった保存食品が主である。
他にはパンが少々。
街で日本食などはまずお目に掛からないので、たまには日本から持参した食材でホテルの部屋で食べたいと思うものの、テイクアウトしてそのまま食べられるものは殆どない。
日本ならコンビニ、スーパー、デパ地下等々どこでも手に入るが、ポルトガルではそうはいかない。
これでは食べる楽しみは半減するし、スーパー等に行くウキウキ感もない。
この点はスペインも同じで、アジアの方がこの手の楽しみは遥かに多い。 |
リスボンの中央市場、品揃え・鮮度共にいまいち。人も少なくアジアのような活気はない。 |
リスボン中央市場の果物コーナー、種類も少ない |
スーパーは日本とそんなには変わらない、保存食品は充実している |
スーパー、生鮮物は種類が少ない。テイクアウトで出来るものは殆どない。スーパーの数も少
ない。 |
この手のパパママストアが至るところにある |
この店は大きい方
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ポルトガル・スペインにも沢山の日本人が住んでいる。そうした方々と色んな場面で遭遇する。
逢った人達は例外なく「スリに気をつけて」と注意して下さる。
それもクドイくらいに念を押してくれる。
リスボンでカフェ経営の女性は「スリの技術ではバルセロナがNo1でリスボンがNo2」なのだ
そうだ。
彼女曰く「人気の28番の電車に乗ったら必ずスラれる。
彼らはプロなんだから」。
今回4夫婦8名が38日間旅をしたが、随分警戒し幸いにして誰一人として被害に逢わなかった。
ただ一度だけ未遂被害にはあった。
マドリードでホテルに入る瞬間リュックのファスナーが開けられた。
本人は全く気が付かず、たまたま通行人が見ていてホテルに通報してくれて判明した。
幸い実被害はなかったが、改めてプロの技の冴えを見せつけられた思いである。
これくらいのことは彼らにとっては朝飯前のことなのだろうが・・・。
どの世界にもプロはいるし素人との力量の差は気の遠くなるような差がある。
しかしプロ野球では高校出の新人が大活躍する。
プロの力量不足なのか、それとも高校生がプロ化しているのか?
政治の世界はもっとひどい。
素人との差がないどころか逆転している面も少なくない。
この世界にも票読みのプロと政治屋のプロはいるのだが・・・。 |
人気の市電、確かに混んでいる時が多い |
市電内部、これくらい空いているとスリも活躍しにくいか? |
繁華街はスリの商売の場、そういう目で見ると疑わしいのが何人かいる |
リスボンの地下鉄、平日の昼間は比較的空いている |
日本では買い物をしても料金やお釣りを誤魔化されることは殆どないが、ヨーロッパでは故意と単純ミスの両方で油断が出来ない。
ポルトガルもその例外ではなく、ここでは単純ミスが多いように感じる。
日本人はカードでも金額を確認せずサインしたり、お釣りも数えずポケットに入れたりするが、ヨーロッパでは注意が必要。
以下小さな実例をいくつかご紹介したい。
1 コインブラのホテルに2回泊まった。
2回目の支払いで約定価格より€6高く請求され2人は言われたまま支払った。
他の一人が気付きアピールしたら素直に払い戻してくれた。(単純ミスか?)
2 リスボンの商店で野菜や果物を買った際、お釣りが足りないのでアピールしたら直ぐ返して
くれた。(少額とはいえ、故意か?)
3 コインブラからポルトへ移動する際、コインブラA駅で切符を買ったが、こちらが指定した
列車より早い列車の切符を発券。
こちらが気が付かなかったが親切な駅員が気付いて注意してくれ、慌ててタクシーでコインブラB駅まで走り、事なきを得た。
確認が必要ということ。
4 ポルトでクルーズの予約をインターネットでした。
確認のメールが来たので安心していたが、何かの拍子にメールを見たら5月の筈が6月になっていて、慌てて訂正依頼メールを出した。 |
コインブラのIbisホテル、フロントは人手不足で対応は緻密さに欠ける |
ポルトガルにはコンビニはなく、この程度の小さな商店が多い |
コインブラA駅の切符売り場、人は良いがそんなに親切とは言い難い |
ドウロ川クルーズで乗った船、7時間のクルーズ |
ポルトガルで長距離の移動は国鉄かバス。これまで国鉄は何回か利用したが、料金が無茶苦茶安い。65歳以上は老人割引で50%引き。
一例を挙げるとポルト~ギラマンイス(75 分)で€2(270 円)、ポルト~ヴィアナ・デ・カステロ(2時間)で€3.3(450 円)。
それに引き替えポルト駅のトイレは€0.5、ポーサダ(歴史的建物を利用した国営ホテル)では水1 リットル€3。このアンバランスは何とも奇異だ。
車両は綺麗でほぼ時刻通りの運行。
駅でのアナウンスは殆どなく、ましてや騒々しい発車ベルなどはもっての外。
車内でも殆ど放送はなく、実に静かで快適である。
切符は買って入るが改札はなく乗ると直ぐ検札に来る。
切符を所持していないとかなり高い罰金とのことだが、幾らか取られるかは定かでない。
こんな料金で経営状態はどうなっているのか?
国鉄というから多分「親方日の丸」で大きな赤字を出しているに違いない。
こうした国営の赤字が財政悪化に拍車を掛けているとは容易に想像できる。
日本の公営の乗り物は同じ親方日の丸でも料金がベラボウに高い。それでも赤字。
JRの成功例があるのに何故バス、地下鉄の民営化が進まないのか!政治化よ、志を高く持て! |
車内はキレイ、時刻表通りの運行 |
ポルト駅のアズレージョは見事 |
ヴィアナ・ド・カステロ駅 |
ポルト駅のトイレ、中は普通のトイレで€0.5とはひどい |
ヴィアナ・デ・カステロでたまたま結婚式に出くわした、この幸せが続きますように |
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リスボンの交通網は完備している。
国鉄、地下鉄、市電、バス、ケーブルカー等々、タクシーに乗らなくても十分観光出来る。
リスボンには8日間滞在し一度もタクシーには乗らなかった。
国鉄や地下鉄の切符システムは日本と殆ど同じようだが、市電・バスは大いに異なる。
車内購入とプリペイドカード支払では大きな差をつけ、大胆な電子化促進作戦を展開している。
バスはプリペイドの場合は€1.05/回に対し、車内購入は€1.75である。市電はもっと徹底していてプリペイド€1.05/回に対し、車内購入は倍以上の€2.85である。
目標を立てて大胆に実行する・・・こんな簡単なことが日本ではなぜ出来ぬ?抵抗勢力の威力未だ衰えずか。
プリペイドカードは地下鉄、市電、バス、ケーブルカー共通で地下鉄の駅で売っている。
窓口で買えば英語が通じて何の不自由もないが、日曜日はそうはいかない。
窓口が終日閉まるのである。
買う手段は自動販売機なのだが、ポルトガル語で大変判りにくい。
警官を捉まえて聞きながら何とか購入出来たが、日曜日は要注意である。 |
ポルトガルのプリペイドカード |
運転手の後ろ左側にある黄色の器具が車内切符販売機 |
車内切符販売機、プリペイドなら€1.05だが、車内では€2.85 |
国鉄も同じ土俵で電子化に取り組んでいるらしいが、いつも切符を購入して乗ったので実態は
不明 |
リスボンでは切符の車内購入よりはプリペイドカードの方が遥かに安いことは前回述べた。
このプリペイドカードには色々な種類があるのだが、厄介なことにどれも全て同じデザインなのだ。
単純なプリペイドカード、1日24時間乗り放題券(48時間、72時間券もある)が全く同一デザインなのである。
内容は電子処理だから問題はないのだが、1日券など古いカードをウッカリ持っているとどれが有効なカードでどれが無効なカードか外見からでは全く判らない。
日本なら大ブーイングだと思うのだが、こちらの人は文句は言わないのだろうか?
このカードは市電、バス、地下鉄、国鉄、ケーブルカー全て共通で使えるとのことだが、バスには乗らなかった。
また国鉄には何回も乗ったがいつも切符を購入したのでカードは使わなかった。 |
色んな種類があるが全て同じデザイン、紛らわしい |
地下鉄 |
市電 |
ケーブルカー |
国鉄 |
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ポルトガルでは地下鉄、市電は便利なので何回も乗った。
地下鉄では日本と同じシステムで無賃乗車は出来ない(但しポルトは改札無し)。
バスは前乗りの事前支払なので、こちらも無賃乗車は不可能。
しかし市電はそうはいかない。
1両の場合は兎も角、2両編成の場合は簡単にただ乗り出来る。
運転手のみで車掌はいないし、乗車はどの扉からでも乗車出来る。
本来であればプリペイドカードは乗車時にカードリーダーにタッチしなければならないのだが、半数以上の人がタッチせずに乗っている。
プリペイドカードを持っていない人は車内で切符販売機があるのでそれで買うのだが、これも買っている人は稀にしか見ない。
降りるときはノーチェックなので、一旦乗ってしまえば無賃乗車完了。
何ともおおらかと言おうか、ルーズと言おうか、日本では考えられない光景ではある。
現場に遭遇したことはないが、多分時々一斉検問でもして無賃乗車者には懲罰的な罰金が課されるのであろうが、会社も会社なら払わない乗客も乗客である。 |
2両連結の市電が一番無賃乗車し易い、車掌はおらずどこのドアからも乗降車出来る。
車内切符販売機はあるが購入する人はまれ。 |
1両の市電は前乗り・後ろ降りなので無賃乗車は難しい |
リスボンの地下鉄は自動改札があるが、ポルトはないし検札の頻度も低いので無賃乗車は結
構いると思う。国鉄は改札はないが発車後すぐに検札に来る。 |
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今回ホテルには35泊し平均単価は一室€62である。この旅行中2回だけ高級ホテルに泊まった。
どちらも€150 で、この2泊を除くと平均単価は€57であり、如何にこの2泊が高いかお判り頂けよう。
どちらも「ん?」という内容であった。
先ずパレスホテル・ド・ブサコから。
ポルトガル最後の国王マヌエル2世が狩猟のための離宮を建てたが、完成した1970年直後に王政が廃止になり、王宮として使われることはなかった。
その後5つ星ホテルとして復活し今日に至っている。
王宮というだけあって抜群の立地、豪華絢爛の外観、豪華な内装、さすがに5つ星だけのことはあり、総論としては大変満足出来た。
でもいくら立派な建物でも運用は人がするもの。
あちこちに綻びが見えそのアンバランスが面白かった。
・水道はパッキンが痛んでか、いくら閉めてもポタポタ落ちる。
寝るときは音が煩いのでタオルで受けて音を消した。
・ドアはどれもギィギィ鳴る。
・シャワーはいくら用心して使っても相当量の水が外に漏れる。
・TVはブラウン管で20インチくらいの超小型。・・・どうせTVは見ないのでどうってことはないが・・・。
・スリッパや歯ブラシはない。・・・これはヨーロッパ共通で当たり前か?
そんな些細なことに関係なく、いいホテルだったなぁ、もう一度泊まりたい。 |
外観 |
裏山の中腹からの全体像 |
回廊は柱とアズレージョが見事 |
2階ロビー、こんなロビーがあちこちにある |
1階レストランの待合所、アズレージョがきれい。アズレージョは館内至るところにあり見事。 |
料理も美味 |
ブラウン管式で部屋に比べ超小型のTVと大きさ比較のためのペットボトル、後ろは鏡 |
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もう一つはヴィアナ・デ・カステロというところにあるポサーダ(Pausada)で泊まった。
ポサーダはスペインのパラドールと同様国営のホテルでどれも5つ星クラスである。
スペインのパラドールには2回泊まったがいずれも満足出来るものであったし、今回は料金もシニア割引でも€150と高いので大変期待して行った。
結果は見事に裏切られた。
確かに丘の上に建っているので景色は抜群。
町の全貌と太平洋、それにカテドラルが目の前に見え、文句なし。
だが建物には豪華さはないし、何よりも従業員教育が全くなってない!これではポサーダの評価を落とすばかりだと思うのだが・・・、それにしてもひどい!
★チェックイン時フロントで部屋から部屋への電話の掛け方を訊いたら、「判りません」と言って
ほかの従業員に聞いて返事をしてくれた。
★ガイドブックには「レストランも有名」と書いてあるのだが・・・。
・ワインを注文したらビールを持ってきた。当然返品したが、あのビールはどうしたのだろう?
・食事途中ボーイが水をついで回る、これはいい。でもワイングラスに注ぎかけて注意したら
やっと気が付いて止めた。
・料理は注文したものではなく、全く違うものを持ってきた。当然返品。
・料理が遅いので督促すると後で2つ持ってきた。
・途中でビールと水を追加注文したが、完全に忘れていて、督促をしたらすぐに持ってきた。
・勘定でサラダが1つ付け落ちたり、セットメニューなのに単品で請求したり、本当にどうなってんの?
過去多くのホテルに泊まったがこれほど従業員教育が出来てないホテルは初めて。
それもポルトガルが誇るポサーダでだから、空いた口が塞がらない。 |
町からホテルへはケーブルカーで上って行く、期待に胸が膨らむ立地は抜群
途中にあるカテドラル越しに見るポサーダ |
途中にあるカテドラル越しに見るポサーダ |
部屋もまずまず |
部屋からの眺めは抜群 |
レストランの雰囲気は良いのだが・・・ |
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アズレージョは絵を施した装飾タイルで、ポルトガルが世界に誇る歴史的遺産である。
これは15世紀にスペインから持ち込まれたもので、16世紀にはポルトガル独自で生産するように
なった。
多くの建物の壁面はアズレージョで覆い尽くされ、後には教会や修道院、大学等で盛んに装
飾として使われた。
今日でも地下鉄などの公的建造物で芸術家の作品を採用するなどしてその継承に務めている。
旅行者にとっては街のあちこちに残っているアズレージョを見るのはポルトガル旅行の大き
な楽しみである。
中でもポルト・サンベント駅構内の壁一面にポルトガル史に残る名場面が描かれ、実に見応えがある。それ以外にも街のあちこちに散在し街歩きを楽しいものにしてくれる。
アズレージョをまとめてみたい方はリスボンにある国立アズレージョ美術館をお勧めする。
初期の素朴なものから現在の芸術品に至るまでのアズレージョのコレクションは見応え充分で堪能出来る。
でも美術館に人為的に展示されたものより、街の片隅に見捨てられたようにポツンとあるアズレージョの方が愛おしい。 |
街を歩いているとこうしたアズレージョが随所に見られる |
コインブラ大学構内で談笑する女学生 |
ポルト・サンベント駅構内のアズレージョは見事 |
アヴェイロ駅旧駅舎のアズレージョも見事 |
アズレージョ美術館にはこのような現代アートも展示されている |
修復作業も大事な仕事 |
日本では野生コウノトリは1971年に絶滅し、現在いるのは人工繁殖したものである。
しかも日本独自の人工孵化種も途絶え、現在いるのは中国や旧ソ連から貰い受けたものをベースに
人口繁殖させたものである。
日本ではその増殖と野生化への取り組みに多大の努力を投入していて、そのご苦労は並大抵ではないと推測している。
このコウノトリがポルトガルでは至る所で見ることが出来る。
教会の屋根や木の上に沢山の巣が存在する。
こんなに沢山いるのに日本で多大な労力を注込んでまで増殖させる必要があるのか?と素朴な疑問を抱いた。
早速インターネットで調べてみるとヨーロッパに数十万羽棲息しているのはシュバシコウという近縁種で、ニホンコウノトリとは区別されているらしい。
でも両者の間では交配が進み2代雑種まで出来ていて、両者を区別する意味合いを疑問視する学者もいるらしい。
でも「区別する意味がない」とは当事者にとっては由々しきことで、とても容認できる話ではないのであろう。
どんな子細なことでも当事者には「重大事」なのだ。
何はともあれコウノトリを至近距離で観察出来るので、ホテルの窓から時間を忘れて童心にかえって観察を楽しんだ。 |
教会の屋根は格好の棲家 |
餌を待つ子供のもとへご帰還 |
子供たち、さぁおあがり |
三脚なしでは手振れもやむなし |
夕方、そろそろ寝るとするか |
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ポルトガル市街地の道路は石畳が多い。景観上では素晴らしいが歩きにくいこと夥しい。
でも至るところで石畳の修復工事をやっているし、新設の場合も石畳にしている。利便性より景観というポリシィに違いない。
石畳だけでなくモザイクタイルで絵が描かれているところも多く、見ていて実に楽しい。
ヨーロッパの教会ではモザイクタイルは珍しくないので、その流れでモザイクが使われるのか、それともポルトガル独特の文化である建物の壁面を飾るアズレージョの影響なのか定かではないが、後者ではないかと想像している。
石畳といい、モザイクといい、日本では例外的にしか見られない両者が、ポルトガルでは当たり前のように使われている。この文化の違いが旅を一層楽しく豊かなものにしてくれる。 |
石畳とモザイク、典型的なポルトガルの街 |
モニュメントがあるような広場では当たり前のようにこのようなモザイクがある |
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歩道を歩いていてもモザイクが楽しい |
車道は石畳、車が通ると音が凄い。でも住民からの苦情はないのであろう。 |
歩道の修復工事、アスファルト舗装など毛頭考えないのであろう |
ポルトガルに限らずヨーロッパにはBARが沢山ある。
日本流のバーではなくバールで、軽食と飲み物がが提供されるカフェのようなもの。
手軽且つ安価なので現地の人にとっては無くてはならない存在である。
少し都心を外れれば地元民の交流の場ともなる。
旅行者にとってもレストランより気軽に利用でき、軽めの食事で済ませたいときなど、まことに重宝である。
我々は昼食とか夕食でレストラン替わりに利用することが多いが、地元民はカフェ代わりに息抜きの場として使ったり、文字通り軽食だけ素早く摂って直ぐ出て行く人たちが多い。
こうした人たちは座席に座ることなくカウンターに立ったままで喫食している。
座り込んでこうした人々を眺めるのも結構楽しい。
地元民とは異なった利用の仕方や、東洋人という珍しさもあってBARの人たちは結構我々
の相手をしてくれる。
言葉の壁もあって思うように意思疎通は出来ないが、それでも実に和やかな雰囲気になり、我々旅行者にもBARはなくてはならない貴重な存在ではある。 |
慌ただしく食べて出て行く人も多い |
客の回転は速い |
欧米人は屋外席がお好き |
地元民の交流の場 |
こちらはバールではなく観光客相手のレストラン |
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アジアは無秩序な看板が乱立し、それが街の活気を一段と引き立てている。
欧米では逆に大幅に制限して景観を保っている。
ここポルトガルも例外ではなく、看板が全くないわけではないが極端に少ない。
日本なら駅舎などは駅名が誰でも見えるように大書しているが、こちらでは駅舎表示もしていないか、していても小さな表示で中々見つけにくい。
スーパーでも店名表示を探すのに苦労することも少なくない。
レストラン(食堂という方が適当か)なども看板はなく、店の前を通らないとその存在が判らない。
食堂に限らず小さな店はどの商売でも看板がなく、観光客には少々不便である。
でも街観という面からすると効果抜群で街に落ち着きを与えている。
アジアの喧騒と活気、ヨーロッパの落ち着き、この文化の違いはどこから来るのだろう。
今後いくらアジアの所得が上がってもこの文化の違いは永久に変わることがないように思うが、如何であろう? |
目に付く看板はない |
観光客の多い通りでも看板は見当たらない |
地下鉄の駅、Metroという赤い看板が唯一の駅表示 |
コインブラのホテルの看板(赤い看板) |
レストランの上品な看板 |
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ヨーロッパはビデ文化、アジアは洗浄便座(ウオッシュレット)文化と大きく分れていると思う。
日本は電動式洗浄便座、アジア諸国は水道直結のホースを手動で操作する方式と差はあるが、洗浄方式であることには違いない。
今回宿泊したホテルで洗浄便座は一度も見なかった。
逆にビデは殆どのホテルで設置され、無かったのは一度だけであった。
洗浄便座慣れした日本人にはビデがその代役を果たしてくれ、まことに重宝である。
今回は殆どのホテルで浴槽があったので洗濯場に困ることはなかったが、浴槽がない場合はこのビ
デが洗濯場に早変わりしてくれ、この面でも有難い存在である。
今回同行したメンバーの一人は「ビデは女性が使うもんと違うんか?」と抵抗していたが、使えるものは何でも利用するのが旅のコツというもの。
それにしても何故アジアと欧州でこれほど洗う場所が異なるのか、どなたか明快な回答を期待しています。 |
田舎町(マルヴァオン)のレストランのトイレにもビデはある |
タイのチェンマイでは手動式の洗浄方式(コンドミニアムにて)。アジアではこの方式が随所に
見られる。 |
台湾は日本と同じ電動式が普及しつつある(振英会館) |
スペイン国境近く、標高865 mに位置するマルヴァオンの岩を巧みに利用した住まい |
ポルトガル・スペインのホテルで共通にいえることは次の通り。
ないもの・・・スリッパ、湯沸し、朝食での生野菜、洗浄便座(ウォッシュレット) ♠
あるもの・・・無料の♠ wifi、ビデ
★朝食は殆どがバイキングなので、生野菜がないのは果物で代用するか、スーパーで胡瓜やキャベツなどを買ってきて部屋で食べて凌ぐ。
★湯沸しがないのはお茶やコーヒーが自由に飲めず誠に不便。カフェに行けばお湯はくれるが、いちいち着替えて行かなければならず面倒だ。それにチップも要る。
★それ以外で特徴的なのは照明が一様に暗いことである。聞くところによると欧州人は青い目をしているので、暗いところでも良く見えるらしい。反対に明るいと目が疲れる為ホテルの部屋は暗く、日中はサングラスが必需品とのこと。
★今回は全てのホテルでwifiが無料で使えた。HPには有料と書いてあっても実際には無料になっている。
マドリードのホテルは「今月から無料になりました」とのこと、ラッキー!
最近日本のホテルでもビジネスホテルクラスであれば殆どのところで無料wifiが使えるが、高級ホテルと気取っているところは有料が多い。
それも法外な料金でステイタスを誇示している積りだろうが、遠くない将来こうしたホテルは無料にするか、さもなくば消え去るか、どちらかだろう。
一流ホテルさん、時代は動いていますよ。「昔の光、今いずこ」とならないようにね。 |
中堅ホテルの朝食、生野菜はない |
|
ハンガーの高いこと!小柄な東洋人の宿泊は全く予想しなかったのか、予想はしていても「上
から目線」でわざとそうしたのか?多分後者であろう。 |
ホテルの照明はスタンドとウォール照明だけでシーリングライトはないことが多い |
スーパーでも果物は豊富だが野菜は貧弱、根野菜はあっても葉野菜はあまり見当たらない |
中堅ホテル(IBis Hotel)の朝食会場、自分でオレンジを絞ってジュースを作る。これが結構美味 |
ポルトガルはどこへ行っても坂の多い街である。そのことと駐車場には直接の因果関係はないと思うが、駐車場施設は多くなく、道路が駐車場になっている場合が多い。
道路駐車の場合有料のところと無料のところと両方あるが、有料のところでは大半が真面目に駐車料金を払っている。
でも無賃駐車しているのも結構あり、これではいつまでたっても不法駐車監視人がなくなることはないだろう。
高い失業率に苦しむ国でそれを少しでも緩和するという意味では不法駐車も貢献しているのだろう。ポルトガル版「泥棒にも3分の理」といったところか?
それにしても坂道に整然と並んでいる車の列は見事なもので、壮観という言葉がぴったりの風景、日本ではあまりお目に掛かれない。 |
リスボンにて |
リスボンにて |
カスカイスにて |
ギラマンイスにて |
ロカ岬はユーラシア大陸の西の果てとして名を馳せている。
ポルトガルが誇る詩人カモンイスの「ここに地終り、海始まる」という詩はあまりにも有名。
日本では宮本輝の同じタイトルの小説でその名を不動のものにした。
小生には小説の有名地や映画のロケ地を追いかける趣味はないが、宮本輝の小説の印象が強かったせいか、ロカ岬だけは行っておきたいと思い出掛けた。
着いたロカ岬は何もなく荒涼とした草原で、大西洋に突き出た断崖絶壁の上に広がっていた。
強風が吹き抜け、ただただ寒く散策も早々に切り上げ、「地の果て」の感慨に浸る余裕は全くなし。
馬鹿馬鹿しいのはロカ岬到達証明書で日付、名前入りで€5.4(豪華版は€10.8)である。
インターネットで調べると2007年の証明書発行枚数が出ていた。
総数48,500枚で買ったのは何と36%が日本人だという。
聞くとパックツアで来た人は殆どが買ってゆくという。
何とオメデタイことか! |
ロカ岬は何もない草原、塔の下部にカモンイスの詩の一節が刻まれている |
カモンイスの詩の一節 |
草原は絶壁の上に広がっている |
観光客の通り道は草もない |
ロカ岬到達証明書の看板、最大の買い手は日本人 |
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世界どこへ行っても落書きは止まることをことを知らない。
ポルトガルも例外ではない。
いつの時代からこんな落書きが始まったのだろうか?昔は発言の機会のない庶民の止むに止まれない意思表示からスタートしたに違いない。
その後色んな変遷を経て現在のように若者のエネルギーの発散の一手段となったのであろう。
豊かになった現代社会ではこれら若者のエネルギー発散の場が提供できないという、大きな社会問題としての視点が欠かせないと思う。
でもどうせ描くのならもう少しマシな落書きが出来ないものだろうか、といつも思う。
一方落書き=悪と決め付けるのではなく、若者に落書き用の場を与える試みもあちこちで見られれる。
世界の落書き文化?の行き着く先はどんな姿なのだろう。 |
最近見られる典型的な落書き |
落書きは場所を選ばず |
もう少し頑張って(ポルトのドウロ川) |
落書きされる前に看板で覆い尽くす、出来栄えは落書きと甲乙付けがたいが・・・(スペインのオ
ビエドにて) |
これは落書きではないですよ(スペイン・ゲルニカの町にて) |
こんな落書きなら大歓迎なのだが・・・
(インターネットから借用) |
ポルトガルで女性の喫煙が多いのが気になった。
スペインではポルトガル以上に女性の喫煙が目に付いた。
ところがインターネットで喫煙率を調べてみたら女性の喫煙率(下図参照)は34か国中ポルトガルは11%で下から4番目、スペインは21.3%で上から4番目と出ている(因みに日本は8.4%で下から3番目)。
統計上スペインは確かに多いがポルトガルは大変少ない。
にも拘わらず喫煙姿が目に付いたのは何故か?
欧米では室内での喫煙がほぼ100%近く禁止されていて、喫煙する場合は屋外で吸わざるを得ない。
そのため我々の目に触れる機会が多かったのだろう。
喫煙するかどうかで人を評価する積りは更々ないが、喫煙しない古いタイプの小生には女性の喫煙する姿には何とも言えない微妙な拒絶感がぬぐいきれない。
趣味嗜好の問題なので各人の自由なのだが、「判っちゃいるけど、それでもなぁ」という気持ちは死ぬまで捨てきれないのであろう。
《余談》韓国の喫煙率は男性がトップ(40.8%)、女性が最下位(5.2%)。日本は男性が上から6番目(32.2%)、女性が下から3番目(8.4%)と男女格差は日韓両国が突出している。
これには儒教思想が大きく影響していると思う。
そうであれば日本にも儒教精神がまだ残っているということか。
そうであれば嬉しいことなのだが・・・。 |
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日本で常々苦々しく感じていることの一つに交通機関の騒々しさがある。
次の駅のアナウンスくらいはまだ許されるが、電車が来るので注意しろ、黄色い線まで下がれ、ドアが開くので手を挟まれるな、忘れ物するな等々日本の電車は煩いこと夥しい。
日本の鉄道会社は乗客を子供扱いして一人前の大人として扱っていないし、駅員は何かがなり立てていないと仕事をした気にならないに違いない。
ポルトガルに限らずヨーロッパの鉄道は静かなものである。
発車ベルは鳴らないし、ドアが閉まる合図もなくいつの間にか発車している。
到着駅の案内も大きな駅くらいで小さい駅では到着駅の案内もない。
ましてや日本のように客を子供扱いするような馬鹿げた注意喚起もない。
インドのように1時間半遅れていても表示はOn timeというのも極端だが、日本のように僅かの遅れでも「遅れましてご迷惑をお掛けしました」と駅に到着する度にしつこくアナウンスされる。
遅れた迷惑よりも煩い迷惑の方が数倍大きい。
お詫びのアナウンスが何よりのサービスと勘違いしているのか、自社の運転時間の正確性をアピールしている積りなのか、どちらにしても迷惑千万である。
その点ポルトガルの列車は静かなもので、旅行者は乗り過ごさないようにするため若干の緊張感はあるものの快適そのものである。
日本の鉄道も早く大人になってほしいものだ。
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検札は発車すると直ぐに来る |
検札は発車すると直ぐに来る |
駅の風景 |
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日本では当たり前の自動販売機は欧米では稀である。
理由は治安の問題で、欧米人は至るところに設置された日本の自動販売機を見て随分驚くそうだ。
何故誰も自販機に溜まった現金を奪わないのか?アメリカの高速道路のレストエリアで見たものは実に頑丈な鎧を纏ったもので、とても実用に向くとは思えなかった。
ところがポルトガルではその自動販売機が高速道路のレストエリアなどで見ることが出来る。
街中では見ることはないが、それでも治安が安定しているという証拠なのであろう。
ポルトガルではスリは一杯いるが所謂治安と言う面ではヨーロッパでは最も安心できる国の一つである。
それでも安全慣れした日本人には相当緊張を強いられるのもまた事実である。
近年日本の治安は大きく落ちてきたが、それでもなお欧米に比べるとはるかに安心出来る。
海外に出てみて初めて日本の有難さが実感出来る。 |
バスターミナルに設置された自動販売機 |
スペインでも見つけたが、ここは建物内で屋外ではない |
10年ほど前にアメリカで見かけた自動販売機、治安の悪さの証明か?
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大道芸はヨーロッパが本場と勝手に思っている(事実かどうかは怪しいが)。
定番の路上や駅で楽器を演奏する、歌を歌う等は当然のことながらあちこちで目につく。
しかしその質はそんなに高いとは思えない。
立ち止まって聞き入るようなことは一度もなかった。
日本の駅などで歌ったり弾いたりしている方がよほどレベルは上ではないかと思う。
それでもチップを置いて行く人も時々いる。
芸を認めてのチップなのか、慈善精神の発露なのか、多分後者であろう。
目を引いたのは「スタチュー」という大道芸。
広場で立ったまま動かない、街の風景に溶け込んで動かない、などの芸である。
これは随所に見ることが出来たしレベルも結構上質でつい見とれてしまうものがいくつもあった。
中には「どんな仕掛け?」と感心するものもいくつかあった。
これならチップも惜しくはない。
炎天下での「動かない」芸だけに相当過酷な面もあると思う。
その動かいなずの「彫刻」が水分の補給をしたり、子供にお愛想したりして息抜きをしている。
これも微笑ましい一コマではある。
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どうやって支えているのか最後まで解らなかった |
これも仕掛けがよく判らなかった(マドリード) |
首なし人間 |
建物の一部になりきった積り? |
炎天下でご苦労様 |
こういうのも大道芸というのかな? |
ポルトガルではなくスペインの話で、巡礼の街として有名なサンエィアゴ・デ・コンポステー(以下コンポステーラ)での風景である。
この街はエルサレム、ローマと並んでキリスト教3大聖地の一つと言われている。
巡礼の道はいくつもあるが、フランスからピレネー山脈を越えて800Kmを歩いてコンポステーラまで巡礼するのがメインのようだ。
目指すゴール地点は聖ヤコブが眠る大聖堂だ。
大聖堂前の広場での光景は感動的である。
幾多の困難を乗り越えてやっと辿り着いた「感激」と「達成感」に浸りきっている人々の表情の何と清々しいことか!喜びを爆発させる若者、静かに感激に浸る年配者、道中で知り合った仲間と健闘を讃え合い記念撮影するグループ。
彼らを見ているだけでこちらも涙が出そうになる。
異教徒の我々でさえ感動するシーンなのでキリスト教徒であればその感動は我々の想像を超える大きさに違いない。
欧州で味わえる「最も美しい人々」はこの地なのかも知れない。 |
喜び爆発 |
やったぞ~ッ! |
疲れたぁ~ |
巡礼者と大聖堂見学の小学生 |
猫に小判と言う言葉がある。神原という猫は多くの小判を見てきた。
・ブロードウエイのミュージカル
・スペインのフラメンコや闘牛
・ポルトガルのファド、インドネシアのガムラン、アンデスのフォルクローレ
・各地の美術館(ルーブル、メトロポリタン、大英博物館、プラド、エルミタージュ等々)
・世界各国の世界遺産
・書道の聖地、中国の臨沂(書道の神様王羲之の故郷) 等々
夫々の道の達人にとっては涎の出そうなところばかりであろう。
しかし猫にとってはそれなりに楽しむことは出来ても、《感動》とはほど遠く、ましてや《感動で震えが止まらない》なんてことは露ほどもない。猫の猫たる所以であろう。
そんな腹の足しにならない小判よりも、街の空気、道行く人々の表情、市場の賑わい、人々の暮らしぶりに接する方がよほど楽しい。
歴史遺産の前で昔の面影を忍び往時の人々の生活に思いを巡らす、この方が猫にとっては小判よりも美味しい。
それでも小判見物はこれからも続く。
小判は見ないよりは見た方が楽しいし、本物を見続けていると自ずと真贋の区別はつく。
猫に小判、また楽しからずや。 |
食堂のオーナーとの会話は楽しい |
陽気な地元民 |
プラド美術館は夕方6時から
無料開放される。
6時を待つ客の長蛇の列 |
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ルーブル美術館 |
プラド美術館、エルミタージュ美術館、大英博物館 |
ガムラン、闘牛、フラメンコ |
ファド、ゲルニカ |
猫に小判の続きである。サッカーファンなら涎の出そうなレアルマドリードの本拠地に行った。
残念ながら試合のない日でグラウンドに入ることは出来なかったが、オフィシャルショップでお土産のTシャツや帽子を買い求めてきた。
人気の選手はやはりロナウドで彼のグッズの売れ行きがNO1とのこと。
それにしても馬鹿デカイ建物で甲子園よりはるかに大きい感じだ。
ネットで調べると収容人員は85,500人とある。大きいはずだ。
これだけのものをサッカーだけの為に維持出来る、やはりスペインはサッカーの国なんだとつくづく思う。
以前レアル・マドリードとバルセロナの所謂スペインダービーの試合をTVで見たことがある。
その熱狂ぶりはアメリカのスーパーボウルに勝るとも劣らない。
日本のサッカーが彼らに追いつくことは夢の中でも実現しないだろう。
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誇らしげなレアルマドリードのロゴ |
確かに行ったよ、証拠写真 |
オフィシャルショップ |
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行くことは行ったが、門外漢には「デカイなぁ」という感慨以外にこれと言う感動はない。
デカ過ぎて写真も撮れない。ネットから借用した写真で凄さを感じていただくことにする。 |
ポルトガルでもスペインでも老人があてもなく屯している姿が目に付く。
日本の老人はハイキング、ラジオ体操、ゲートボール、グランドゴルフなどで行動的だが、こちらでは公園や街中のベンチで日光浴等している姿が目に付く。
日本の方がよほど健康的だ。
門外漢で詳しいことは解らないが日本では近年薄れたとは言え、ムラ社会の意識が依然として流れていて、年老いても集団で行動することへの抵抗感が薄いのではないか。
これが元気老人を生み出している根源の一つと思う。
こうした活気のない老人たちを眺めていると、日本での地域活動、職場のOB 会、同窓会活動、趣味の会などしみじみ有難いと思う。 |
ネットで高齢化率(65歳以上)を調べてみた。主要50ヶ国で日本は堂々の1位(22.7%)、ポ
ルトガルは6 位(17.9%)、スペインは11 位(17.0%)と出ている。老人が目に付くはずだ。
※20位までは日本以外全て欧州諸国である。(データは2010 年)
http://washamada.com/life/aging-society-data-104.html |
コルクはコルク樫の樹皮を剥して利用する。
コルクは弾力性に優れ、水は通さず、空気は通し、保温性に優れている。
そのためワインの栓や硬式野球ボールの芯、釣竿のグリップ、更には建材にも使われている。
野球のバットにも使われていたが反発係数が高過ぎて最近では使用が禁止されている。
サミー・ソーサが使って罰金を科されたことがある。
世界の生産量の52%がポルトガル、30%がスペインでイベリア半島で世界の8割以上を生産している。
コルク王国だけあって日本では殆ど見掛けないコルク製品を見掛けた。
カバン、ショルダーバッグ、財布、小銭入れ、帽子などである。
肌触りは大変滑らかで、とてもコルクから作ったとは思えない。
値段的には割高だがオリジナリティたっぷりでお土産好適品だと思う。
帽子を買った(写真)が値段は€25であった。 |
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コルク樫の樹皮を剥いで保管 |
コルク樫の樹皮と樹皮を剥いだあと |
ポルトガルの食事は総論として5段階評価で3といったところか。
一流レストランを除けば値段は大変安い。肉は牛肉以外はまぁまぁ。
ポルトガルは海に囲まれた国なので魚が豊富で、ガイドブックには中でも干し鱈料理とイワシの塩焼きが名物と書いてある。
確かに干し鱈はどこに行っても必ずメニューに載っているほどポピュラーだ。
味は不味いというほどひどくはないが、決して美味しいというレベルではない。
またイワシの塩焼きも日本で美味しいのを食べているせいか、並かそれ以下の味である。
食材としては結構種類もあり、決して貧弱な食生活とは思わない。
しかし、日本のように一つの材料を色々な料理に加工する工夫はなく、選択肢が非常に狭い感じだ。
日本なら一つの魚を刺身、焼く、煮る、揚げる、マリネ、一夜干し、味噌漬け・・・と色々と加工す
るが、こちらではせいぜい焼く、蒸す、揚げる、マリネくらいしかない。
食文化で言えば日本の方が遥かに上を行っている。
お断りしておくが、以上の話は大衆レストランレベルでの話で一流レストランでの話ではない。 |
今回掛かった費用をご報告してこの通信のしめくくりにしたいと思います。
2013.05.08~06.14
38日間 夫婦2人の合計金額(€1=133円で計算)
★総費用(お土産除く) 933,000円
航空券♠ 2人分 関空~マドリード往復 228,800
マドリード~リスボン片道 32,300
自宅~関空タクシー代♠ 往復 8,000
ホテル ♠ 35泊 318,000(@9,100)
食事・食材費 ♠ 184,000(4,842円/日)
観光・交通費・雑費 ♠ 161,900
以上 |
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